人気ブログランキング | 話題のタグを見る

都会でも医師不足

 医師も多くいて、大きな病院が多数ある東京都でも、「悲劇」は起きました。

 今月4日(土)の夜、激しい頭痛を訴えていた都内の妊婦(36歳)が、かかりつけの産婦人科医院から救急搬送される際に、都内でも有名な7か所の大病院から診療を断られていたことが明らかになりました。最終的には搬送先を探し出してから1時間後、最初に連絡した病院で(帝王切開で)出産し、さらに脳内出血の手術を受けたものの、女性は赤ちゃんの顔を見ることなく3日後に亡くなりました。

 2006年、奈良県で意識不明になった妊婦が、奈良や大阪などで10ヶ所以上の病院に受け入れを断られて死亡した問題を受け、厚生労働省は「総合周産期母子医療センター」の整備を全国の都道府県で進めてきました。東京都では女性が出産後に死亡した都立墨東病院(墨田区)など、9か所が指定されており、全国の先進地となっています。しかしながら今回の場合、受け入れ可能な病院を同センターなどを検索する端末で探し、指定を受けている東京慈恵会医科大、慶応大、日赤医療センターなどの各病院に連絡したとのことですが、「ベットが空いていない」などの理由で断られていました。

 墨東病院の場合は、産科が望ましいと定めている常勤医は9人。しかし、退職者が相次いで現在の常勤医は4人だったとか。そのために、研修医も含めて通常2人でやってきた当直を7月からの土日は一人とし、「土日の緊急搬送は原則断ることにしていた」、とのこと。4日の夜も勤務していたのは研修医一人でした。都心であっても医師不足・・・・、深刻な問題です。

 総務省消防庁の調査では、07年に救急隊が妊婦を搬送しようとして医療機関から10回以上拒否されたケースは全国で53件。東京はそのうちの31件を占めていたようですから、驚いてしまいました。

 ところで、秋田県の場合はどうでしょう。同センターの機能を持っているのは、秋田市にある秋田大学付属病院と秋田赤十字病院の2か所。高速道路が整備されてきたとはいえ、搬送に1時間以上かかる地域も多くあります。そうした現状からしても、まずは身近にある基幹病院の役割が重要です。特に不足している産科医については、抜本的な対策が取られるまでは、地域の開業医との連携を密接にするなど、地域で支える医療のシステムづくりが欠かせません。

 少子化時代ならばなおさら、ようやく授かった子供を安心して産み、育てることができるよう、「みんなで支える医療体制」を充実するために、行政も医療関係者も一緒になって取り組む必要があります。都会のように「うちがダメでも、他の病院があるだろう」という落とし穴がないように、日頃から、地域医療のチームワークをしっかり確立しておかなければなりません。 

by shouichiro_sato | 2008-10-23 21:33 | 社会・話題 | Comments(0)

 

<< 県フェンシング協会 アトリオン >>