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「他用途米」は大丈夫?

 ミニマムアクセス米として中国から輸入されたもち米が農薬に汚染されており、事故米(工業用ノリの原料)として農水省から買い取った米粉加工販売会社「三笠フーズ」が不正に転売していた問題は、酒類製造の業界から菓子製造業者、学校給食にまで波及するなど、拡大する一方です。問題発覚から10日余の先週末、19日にはコメ流通の管理・監督責任をとって農林水産大臣と事務次官が辞任するなど、農水省のトップ2人が同時に代わるという異常事態に発展しました。

 コメの生産者である私などは、農協に出荷されたコメは(産地精米以外は)全農を通して消費地の米穀店に買われ、そこで精米されて消費者に届くものと思っておりました。即ち、コメの流通経路はそんなに複雑ではないと、思っていたのです。

 しかし、今回明らかになった事故米では、三笠フーズからコメを使用する業者までの間に、何んと10社前後の業者が関わっているとのこと。「事故米」で販売されたものが、いつの間にか「普通のコメ」に。さらには、「中国産」が「国産100%」に化けていました。どの段階で化けているのかは未だに解明されず、当事者同士の説明も食い違うばかりです。

 さらに今日、和歌山市教育委員会では給食で出す予定の米粉パンを急遽、メニューから外したとのニュースがありました。製粉業者に対して、米粉が100%国産であること示す産地証明書の提出を求めたところ、製粉業者に加工用玄米を販売した全農が証明書の提出を拒んだというのです。全農では「加工用米は複数の産地・銘柄をブレンドすることもあり、過去に証明書を出したことがない」と話しているとか。生産者にはトレイサビリティ(生産履歴)の記録を求めるなど、農畜産物の安全・安心に対する姿勢を強化している中で、その統括をするべき全農がこのような状態では、新たな火種となる心配があります。

 例えば、主食用のコメの生産調整に協力しながら、加工用などに通常の半値以下で出荷してきた「他用途米」(品種はあきたこまちなど、主食用と同じ)などは、その管理と販売ルートは確実に守られてきたのか。そのチェックはどこの機関なのか・・・・・。三笠フーズの九州工場を調査してきた農水省福岡農政事務所は、過去5年間で96回の立ち入り調査を行いながら、汚染された事故米の行方を「全く見抜けなかった」のですから、普通のコメである他用途米の流通などは、「どうなっていたんだろう」という不安?をもってしまいます。

 生産者や消費者をダマシテ、懐(ふところ)を肥やしている者がいるとすれば、厳しく追求しなければなりません。コメの流通の実態については、私たちも無関心すぎました。この機会にもっと詳しく知りたいと思います。もしかして、コメを用途別にしっかり管理できれば、主食用の米価はもっと確保できるのではないかと思いますが、どんなものでしょうか?。教えてください、全農さん。

by shouichiro_sato | 2008-09-22 21:40 | 産業振興 | Comments(0)  

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