医師不足で政策転換
2008年 06月 17日
政府は1982年に「2007年頃には医師が過剰になり、医師数が増えれば医療費が高騰する」として、初めて医師数の抑制方針を閣議決定し、97年にも閣議でその方針を継続することにしました。結果、各地の大学で医学部の定員削減などが行なわれてきました。
しかし現状は、ここ数年の間に全国で医師不足の問題がクローズアップされてきています。少子高齢化社会になり医療に対する需要は益々拡大していく中で、将来を担う20代の医師数が年々減少し、若手医師の小児科や産婦人科、外科離れが進んでいます。さらに新しい医師臨床研修制度が導入されたことで、大学の医局と地方の病院との連携も崩れ、医師不足と医師の偏在に拍車をかけてしまいました。厚生労働省もようやく、「医師は充足している。問題は地域や診療科によって偏りがあることだ」という認識を撤回する方向ですが、特に地方においては医療体制の崩壊が現実となっているだけに、「現実を無視し、見通しを誤った政策だ」と批判されても仕方がないでしょう。
余談ですが・・・・・ 抑制方針が決定された当時を思い出すに、「医療費の高騰は抑えなければならない。しかし、医師がこれ以上に増えて(医師の)所得が減るのも困るから、これ以上増やすことには反対だ」と、豪語していた実力者(田舎の先生)?もおりました。
しかしながら、医療に対するニーズが多様化かつ専門的になり、急激に変化してきた医療現場や長時間の過酷な労働など、渦中の医師の働き方についての見直しも喫緊の課題です。今回の政策転換を機会に、人口が減少しながら長寿社会になってきた状況や、都市と地方の地域格差が拡がる中での充実した医療サービスの在り方など、さらに突っ込んだ対策をしなければなりません。とかく昨今は、小手先ばかりの対策が目立つ厚生労働省ですので、抜本的な医師の充足と医療政策を期待しています、舛添さん。
by shouichiro_sato | 2008-06-17 22:25 | 国政・時事 | Comments(0)