福田首相に「問責決議」
2008年 06月 11日
「問責決議」とはその名のとおり閣僚などの責任を問うもので、可決されれば「その閣僚のもとでは審議できない」として、審議拒否などが行われてきました。参議院には(衆議院にある)内閣不信任決議権がないために、代替手段とし政治責任を問うために行われるものの、法的な根拠はなく、可決されても拘束力はありません。
野党側のねらいは衆議院の解散に追い込むことですが、福田首相や自民・公明の与党には解散をして国民に信を問う意志は全くありません。会期末のこの時期に野党が審議拒否したとしても、今国会の重要法案はほとんど成立済み。残っている国際協定の承認のために会期を6日間延長して(憲法の規定による)自動承認をはかる予定で、影響は無し。与党は参院での問責決議案可決を受け、すぐさま河野洋平・衆議院議長に内閣信任決議案を提出し、あす可決して政治的効果を打ち消す構えです。
ところで、NHKニュースは「この時期の問責決議案の提出は民主党・小沢代表の強い意志によるものだ。民主党内を引き締めるねらいがある」と解説しています。選挙モードを演出し、求心力を維持したい小沢代表の党内戦略だというのでしょうか。結局、あすから民主党が審議拒否することで、国民の関心が高い「後期高齢者医療制度」の廃止(民主党案)も見直し(自民党で検討)も、原油高による国民生活への影響、年金問題への対策もさらに先送りされることは確実です。
参議院選挙で野党が勝利し、最近の世論調査では民主党の支持率が自民党を上回っているにもかかわらず、自衛隊のインド洋派遣や新年度予算、ガソリンの暫定税率なども今まで通りで、何も変わっていません。一時的には参議院の議席の力で抵抗できるものの、与党が3分の2以上の議席を持つ衆議院では元に戻るばかりです。
やはりここは、野党も積極的に政策論争をし、国民世論が盛り上がるような運動をするべきでしょう。参議院の数の力で審議を先延ばししたり、抵抗する姿勢だけではかつての自民党がやってきた手法と同じであり、新鮮味がありません。きょう予定されていた「党首討論」も行うべきでした。堂々と議論して、政策の違いを国民に示すことが「解散・総選挙」を近づける最良の手段であると、私は考えます。
ですから、初めて内閣総理大臣の問責決議が可決されたというニュースは、NHKも民放も秋葉原の無差別殺傷事件の続報より後回し。なんとも情けない?扱いでした。
by shouichiro_sato | 2008-06-11 22:45 | 国政・時事 | Comments(0)