新・農業人フェア
2008年 06月 03日

このところ世界的に穀物価格が高騰し、世界一の食糧輸入国である日本の低い自給率が注目され、「農産物」と「農業」への関心が高まっています。そうした中で全国農業会議所の「全国新規就農相談センター」は、農業に興味がある人や始めてみたい人、田舎暮らしをしてみたい人を支援する事業として、「新・農業人フェア」を全国で開催しています。今年は広告にある東京会場・池袋サンシャイン(6月14日)など、大坂、札幌で来年3月まで8回、行われます。
同フェアでは、社員を募集している農業法人の合同会社説明会や新規就農相談会、新規就農セミナーなどのコーナーが設けられるとのこと。ただ、昨年までのフェア参加者で「実際、就農した人がどれほどいるのか?」。過去の実績が公表されていませんから成果は不明ですが、斬新な感覚で農業・農村の現場に飛び込み、再生に力を貸してほしいと念願しています。
さらに昨今、食糧や環境問題が深刻になってきた状況から、農業・農村に対する国民の皆さんの見方に変化がでてきたとすれば、農村地域で暮らす一員としては嬉しい限りです。都市近郊で農地が高額で売買できる地域を除けば、一般的には(コメ中心の)再生産も不可能な経営状態の農家が多いのですから、国内農業の保護・育成政策を充実しなければなりません。ヨーロッパや米国に比べて、国の(穀物価格に対する)財政負担の比率が少ない日本です。まずは、今の農業現場の再生のために抜本的改革を行うこと。それが喫緊の課題です。
きょう、イタリア・ローマでは国連の食糧農業機関(FAO)が主催する「食糧サミット」が開幕し、福田康夫首相は演説で「(ミニマムアクセスの)輸入米を30万トン以上、放出する(海外支援に向ける)」と表明しました。日本は外貨の保有も多く(お金があり)、今までは何でも外国から買っていましたが、こうした時代はいつまで続きません。安い商品を輸入して差益を稼ぐ時代は終わろうとしています。すでに、自動車産業などは現地(諸外国)での生産と販売を通して世界に貢献しています。国民が生きていくための最も重要な産業である農業についても、新たな国民世論を醸成する時期に来たと、私は思います。
by shouichiro_sato | 2008-06-03 22:47 | 産業振興 | Comments(0)