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ホタテ漁船の遭難

 今月5日の午前4時前、青森県の陸奥湾で青森市漁協・久栗坂支所所属のホタテ漁船「日光丸」(5.1トン、8人乗り)が遭難してから、きょうで2週間。いままでに6人が遺体で発見され、16日には船体が海底から引き上げられましたが、残る2人は依然見つかっていません。

 今夜のNHK総合「クローズアップ東北」は、このホタテ漁船遭難を検証した番組でした。遭難現場は久栗坂漁港の目の前、1.6キロメートル付近にあるホタテ養殖場の海上。5日は漁の解禁日で、日光丸にはアルバイト6人を含む8人が乗り込み、午前1時過ぎに出港してホタテの養殖カゴを引き上げていた模様です。しかし、同3時頃には風速18メートルという強い風が吹き出し、僚船の5隻は港に引き返しています。

 小型漁船にとって最も怖いという後方からの「追い波」を受けて一気に沈没したのか。海中からカゴを引き上げる油圧式のクレーンが伸びたままで沈んでいることから、作業中に横波を受けてバランスを崩したのか。亡くなった船長が操舵室で発見されていることからも、一瞬で転覆して沈没した可能性が強いと、専門家は分析しています。

 一方、遺体で発見された6人の乗組員はどなたも救命胴衣を着けていませんでした。普段から救命胴衣を着けていない漁師仲間によると、船上では「作業の邪魔になる」「暑い」、「遭難するとは考えていない」ことなどがその理由のようですが、油断大敵でした。遭難当時の水温8度の海中でも、救命胴衣をつけていれば2時間半程度は存命の可能性があること。海上に浮いていれば発見される可能性が高いことも明らかになっていますから、夜間の漁でありながら誰も救命胴衣を着用していなかったのは残念でした。

 水揚げ後の加工作業の関係で、深夜から早朝の漁が多いことや、アルバイトの労働力に頼らなければならないことなど、ホタテ漁のおかれている厳しい実情も明らかになりました。一生懸命に頑張っている皆さんの姿を知れば知るほど、悔やんでも悔やみきれない痛ましい遭難事故です。二度とこうした惨事を引き起こさないためにも、救命胴衣の着用だけは徹底しましょう。

 海釣りやボートなどのレジャーでも同じこと。万が一の場合も、「備えあれば憂いなし」です。 

by shouichiro_sato | 2008-04-18 23:07 | 社会・話題 | Comments(0)  

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