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知事の決断

 21日から2月定例県議会が始まり、寺田知事が提案する2008年度当初予算案や当面の課題について、所信の一端を述べる「知事説明」が行われました。その要旨がきょう、県のホームページに登録されています。

 「地方から国を変える」という持論を述べたあと、「子育て支援と教育の充実のために新たな県民負担を求める税条例を提案する環境にはないと判断した」経緯を説明しています。「県議会をはじめとする多方面での議論やアンケート結果など、諸情勢を踏まえて判断したが、将来ビジョンに掲げた保育料や医療費助成、妊婦検診の必要性については、広く理解が得られている」として、こうした県民の思いにどう応えていくのかが大きな課題であり、「新たな議論の始まりであると考えている」と述べています。

 3選を果たした寺田知事が、選挙公約にはなかった「子育て支援」の必要性と新たな県民負担について発言してから2年半余。この間、知事を先頭にして県内で実施された対話集会は100回以上。アンケート調査も3回行われました。しかし県民の声に敏感な県議会は全会派が反対を表明し、県民負担を求めることへの県民の声は厳しくなるばかり。3回目のアンケート結果は「賛成」6.6%、「どちらかといえば賛成」18.4%、合わせて25%。前回から10ポイント低下しました。これでは「県民世論を味方にして議会を突破」する戦略どころか、民意を全く把握していない「裸の王様」。「予算と労力の無駄遣い」という批判がでるのも当然です。

 「子育て支援」と「教育の充実」を社会全体で支えていくことが秋田県の将来の発展につながることは、アンケート調査をするまでもなく県民の共通した認識です。しかし、新税構想が発表された当初は、高等学校の施設整備などのハード事業が盛り込まれていたり、その後も事業メニューや必要な費用がコロコロ変ったために、「財政運営の失敗を補うための増税ではないか?」という見方が浸透し、子育てに直面している当事者の理解も深まりませんでした。特に、昨年の県議選後は「反対」や「慎重に」という声がさらに大きくなったにも拘らず、耳を貸すことなく執念を燃やし続けた寺田知事。与党的な立場の議員からも「責任を問う」声が上がっています。

 一方、秋田市河辺にある七曲臨空港工業団地に建設予定だった秋田製材協同組合の大型製材工場は、総事業費約30億円の事業計画が国や市、金融機関との協議が整い、1月末の知事査定では当初予算への助成金の計上が決まっていながら、見送りに。査定では了承した知事がその後、「経営基盤が不十分だ」としてドタキャンしていたことが明らかになりました。低迷する林業の活性化のために努力してきた関係者にとって、「寝耳に水」の知事の決断。この背景には何があったのでしょうか?。

 2年半にわたり県民負担を求めた執念と、事業者との協議もなく査定終了から10日ほどで伝えた事業見送り。双方の事案とも県庁の英知の結集ではなく、「知事の決断」でした。

by shouichiro_sato | 2008-02-22 23:16 | 秋田県 | Comments(0)  

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