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危機管理

 19日午前4時7分ごろ、千葉県野島崎沖約40キロの太平洋で発生した海上自衛隊の最新鋭イージス護衛艦「あたご」(7700トン)が、マグロ漁に向かっていた千葉県勝浦市の漁船「清徳丸」(7.3トン)に衝突した事故。船体が二つに割れた無残な姿の清徳丸はきょうの夕方、実況見分のために台船に乗せられて海上自衛隊横須賀基地に運ばれてきました。しかし、乗っていた漁師の父子二人の救助は難航し、行方不明のままで2日目の夜を迎えています。

 建造費約1400億円をかけ、昨年3月に就役したばかりの「あたご」には最新のレーダー設備があり、訓練された隊員による監視も行われているはずですが、なぜ衝突を回避できなかったのか。横須賀海上保安部は昨夜のうちに異例ともいえるイージス艦への強制捜査に乗り出し、艦内の捜索と乗組員から聴取を行って事故原因の究明を急いでいます。

危機管理_f0081443_22494262.jpg ところで、国家防衛の最先端にあるイージス艦衝突事故の報告が、海上幕僚長にあったのが午前5時ころ。石破防衛大臣や同省事務次官には、事故発生から1時間30分後の同39分。福田総理へはさらに遅れて6時5分だったとのこと。緊急かつ重大事案では「1時間以内に大臣へ速報する」とした防衛事務次官通達が守られていなかった連絡態勢も明らかになり、大きな問題になっています。また、地元の千葉県へ連絡があったのは事故発生から4時間後であり、ニュースで事故を把握した県が独自の判断で救助体制をとっていたことも分かりました。
 (写真右・20日の秋田魁新報朝刊より)

 さらに、今夜になって「あたご」が漁船を発見した時間が、「衝突の2分前」から「12分前に確認していた」こと。事故直前まで自動操舵で航行中だったことも分かりました。このように時間が経つにつれて新事実が明らかになってくると、トップへの報告時刻の遅れの背景には防衛省の体質?ともなっている「情報隠し」があるのではないか、疑念が募ります。危機管理_f0081443_22525113.jpg現場の認識と判断のミスが重大な事態を招くことが多い世の中で、国家の危機管理を担当する最高機関で危機管理への不備が露呈したことは、誠に遺憾なことです。
 (写真左・秋田朝日放送「報道ステーション」では、船首と船尾を鋭く切り裂かれた清徳丸を実況見分する様子が伝えられています)

by shouichiro_sato | 2008-02-20 23:15 | 国政・時事 | Comments(0)  

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