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給与、60%減額

 横手市の五十嵐忠悦市長は30日、発芽玄米事業の不振で昨年9月に解散した第3セクター「㈱横手産業支援センター」の責任を取り、自らの給与60%を市長としての残任期間である来年9月までの19ヶ月間、減額する方針を示しました。所管事務担当の副市長も38%減額するとしています。2月7日に招集される臨時議会で常勤特別職給与条例改正案が承認されれば、市長は月額32万8千円(現行82万円)、副市長は同40万円(同65万8千円)になるなど、きわめて異例の事態となります。

 ㈱横手産業支援センターは広域合併前の平成16年10月、旧横手市が「農産物の加工をベースに事業を起こし、販売促進を図ろう」と資本金1千万円(市50%、民間50%の出資)で設立。その支援第一号の事業が米どころの地域特性を活かした、あきたこまちの「発芽玄米」製造・販売事業です。しかし、販売が軌道に乗らずに在庫が拡大。負債も9270万円になり、昨年に会社を解散してからは清算業務だけを行っていました。横手市では事業そのものが市の提唱で行われており、市の責任は重いとして負債全額を補助金で補うとともに、市長と副市長もかつてない率で給与の減額をするということです。19ヶ月間で減じられる総額は市長が1200万円、副市長が600万円です。

 ところで、横手市は「横手焼きそば」や発酵食文化を広くPRするなど、ユニークな地域産業興しで全国から注目されています。行政が積極的に情報発信し、市役所にも中央官庁出身者や民間の人材を登用するなど、他の自治体とはひと味違った先進的な取り組みをしてきました。それゆえに㈱横手産業支援センターの成果にも期待していたのですが、残念なことになりました。設立からたった3年で多額の負債をかかえ、解散に追い込まれたのは何故か?。原因をしっかり検証しなければなりません。そして、その教訓を次に活かしてほしいものです。

 今回の引責問題で横手市の産業振興政策が後退したり、職員が意欲を失うことがないよう、いっそうの奮起を望みたいと思います。と同時に、これだけ長期で大幅な給与の減額に対して、市議会はどういう判断をするのか。リスクをともなう政策推進の結果責任のあり方について、その議論の行方にも注目したいと思います。


 《 付 録 》
 
 私も「五輪坂温泉・としとらんど」の事業に関してこんな経験があります。各市町村が住民の健康増進と保養の場として温泉施設を整備していることから、町長選挙の公約に「温泉掘削」を掲げました。町では以前、前任者が2千万円の予算でヘリコプターによる探査をしたものの、成果を得られずに諦めていた課題でした。

 議会では「温泉が出なかったらどう責任を取るのか」「(温泉施設の)経営が赤字になった時の責任は?」が質疑の中心になりました。そこで私は先進地の町村長にアドバイスをいただき、「成功報酬方式で掘削したい」と提案しました。即ち、温泉の温度と毎分の湧出量で掘削経費を支払うという契約です。万が一、温泉が出なければ支払いはゼロ。その代わり掘削場所は契約業者が選定し、町が(ここを掘ってくれと)指示することはできません。
 
 結果は町民の憩いの場で掘削に成功して事なきを得ましたが、首長は常にそうしたリスクを背負って仕事をしなければならないのですから、厳しいものです。住民の要望は「温泉がほしい」というものの、議会は「失敗したらどう責任を取るのか」。それ故に、慎重な情報収集と緻密な計画が欠かせませんでした。今振り返れば、議会の皆さんの厳しい姿勢があったことにより、大過なく町長の職務を果たすことができたと感謝しています。

by shouichiro_sato | 2008-01-31 21:33 | 産業振興 | Comments(0)  

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