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どうなる「暫定税率」

 通常国会での焦点が凝縮された衆参両院での各党代表質問が終わりました。「年金記録の不備」や「経済政策」、「国際平和協力活動」などで論戦が展開されましたが、やはりガソリンにかかる揮発油税などの暫定税率問題が中心課題となった感じです。

 民主党の鳩山幹事長はこの国会を「生活第一・ガソリン国会」と位置づけ、3月末で期限切れとなる暫定税率の延長は認めない方針を強調しました。仮に暫定税率が3月末で廃止されれば、ガソリンが1ℓ当り25円程度値下がりすることになり、最近の世論調査では(値下げを)7割以上の人が支持しています。「ガソリン値下げ隊」を組織して同党の若手国会議員が全国キャンペーンを始めるなど、盛り上がり?をみせています。

 しかしながら、国会が始まって一週間も経たないうちに全国の地方自治体からは「道路整備財源」の確保を求める声が大きくなって来ました。民主党出身の松沢・神奈川県知事をはじめ、改革派といわれている知事や首都圏の知事が民主党案に反対を表明し、全国知事会などの地方6団体も挙って暫定税率廃止反対の態度を鮮明にしています。そしてきょうは、東京都内に全国から都道府県議会議員500人が集まって、「暫定税率の堅持」を求める総決起大会を開きました。

 暫定税率が廃止されれば、国と地方であわせて2兆6千億円の歳入欠陥になると予想され、「真に必要な道路は造る」とするならばその不足する財源をどう確保するのかなど、住民要望に対応して事業を進めている地方自治体の立場からすると、民主党の主張も今ひとつ不明瞭で説得力がありません。もしも与野党の意見が一致せず、3月末まで関連法案が成立しなければ国民生活に大きな混乱が生じることも予想されますから、心配です。

 ガソリンや軽油などの値上がりに悲鳴を上げている消費者の立場からすると、安くなるのは大歓迎ですが、自治体財政が混乱するのは避けてほしいと思います。廃止するとしても財源対策を確立するための計画的な準備期間を設けることが必要です。逆に恒久的に必要な税率であれば、暫定措置を撤廃するべきでした。30年間もそのままにしてきたことを反省しなければなりません。抜本的な税制改革を先送りしてきた政府・与党のツケが、「衆参逆転国会」で早期の解散・総選挙を求める野党の格好の餌食になった感じです。
 
 ただし、3日間の代表質問を聞くと与野党の主張に歩み寄る感じはなく、「睨み合っている」仕切りの段階。これからの国民世論がどちらを支持するのか。与野党それぞれに、その判断材料となる政策の中身をより具体的に示していく必要があります。

 政府はきょう、例年より10日ほど早く「税制関連法案」を国会に提出しました。これからです。

by shouichiro_sato | 2008-01-23 21:39 | 国政・時事 | Comments(0)

 

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