乗合タクシー
2008年 01月 10日
昨年9月30日に廃止された羽後交通の定期バス路線「湯沢沼館線」の代替交通手段として行われている、タクシーによる「湯沢行き」「沼館行き」の停留所でした。各線とも1日3往復で、廃止前のバスとほぼ同じ時刻表。利用者が少なくなったために、補助金を投入していたバス路線でも維持することが困難になり、廃止をして新たな地域交通を考えた結果の取り組みです。
しかし、写真を撮って車に戻った瞬間に(偶然にも)「湯沢行き」と表示した乗合タクシーと出会いましたが、社内に乗客の姿を見つけることはできませんでした。なぜそうなのか?。原因は誰でも分かっている事です。こうした交通手段を必要としている人のニーズと、実際の交通の在り方が乖離しているからに他なりません。
この地域でバスを利用する人の多くは、学生か高齢者。学校に向かうか病院に行くしか利用していないのに(特に平日は買い物で利用する人などほとんどいません)、実際の運行スケジュールは拠点となる市の駅か中心部を目指すものばかり。これでは利用目的と合致していません。羽後町の例を見ても、町内を定期的に無料で巡回している五輪坂温泉「としとらんど」や町立羽後病院のバスは盛況です。その上、一部の小中学校ではスクールバスが独自に運行されています。
バス路線が廃止になった自治体関係者によると、地域交通対策の会議を開いて決めたもので「代替措置はあくまでも暫定的なものであり、その結果を見てから次の対策を考えたい」という返事が返ってきますが、結論は最初から見えています。運行経路や時刻などを従来通りにして定期バスを小型の乗合タクシーに替えるよりも、子供たちや高齢者などの交通弱者にとって、どんな役割(目的)の交通手段が必要なのかを検討し、ニーズに適した新しいシステムを構築しなければなりません。
今年の3月末には秋田県内でも多くのバス路線が廃止になり、同じような代替交通が始まります。しかしながら、地方や過疎地の住民の足を確保するためには画一的でない斬新な発想で、例えば各家庭の庭先まで出迎えて目的地の玄関まで送るような仕組みに踏み込んでいるところはありません。私は利用者のニーズを調整し、「乗合できるタクシー・システム」が地方における次世代の公共交通の在り方だと考えていますが、皆さんはどう思われますか。
by shouichiro_sato | 2008-01-10 23:07 | 社会・話題 | Comments(0)