帰省ラッシュ
2007年 12月 29日
高校卒業と同時に、進学や就職で県外に出て行く若い人たちが多いものの、お正月やお盆休みは故郷との結びつきが復活する時でもあり、様々な想いで帰省の旅路についたことでしょう。もちろん、故郷の家族もきょうの日を首を長くして待っているのですから、今夜は楽しいひと時になっていることと思います。
私の周囲を見ても、秋田に残っているのは年輩のご両親だけで、子どもは全て県外に居住しているケースが珍しくありません。一生懸命に働いて、子どもの学費や生活費を仕送りしてきたにもかかわらず、県内に就職先を見つけることが困難で帰ってくることもできず、高齢者だけで暮らしている世帯も目立ってきました。私たちの時代はまだ、実家には跡取りがいて兄弟・姉妹が外へ出る程度でしたが、今は子どもが少ないうえに同居する人もいないのですから、過疎化は進むばかりで集落の状況も大きく変わってきています。
それでも、新幹線や飛行機、高速道路も良くなって「故郷が近くなった」という声が聞かれますし、メールやテレビ電話が普及して「いつでも孫の顔が見れる」と、便利になったことを喜んでいる人も少なくありません。しかしながら、便利になればなるほど過疎化に拍車がかかってきた現実を見過ごすわけにはいきません。
高速交通体系や情報通信網の整備と充実は、地方での経済活動や暮らしを向上させるために取り組んできた課題でした。しかしながら便利になったことで、地方から「人」と「物」と「金」を中央に吸い取られるストローになっているのが、今日の姿です。自民党が夏の参議院議員選挙で歴史的な敗北をしたことと、安倍首相が辞任して福田首相が誕生したことで、ようやく政策の見直しが始まりましたが、「小泉劇場」のドラマに酔って地方の衰退に知らんぷりしてきた政治(家)の責任には大きいものがあります。
日本の住みよい環境を維持する。安全安心の食料を確保する。日本固有の誇るべき文化を発展させるには、私たちの先祖の営みを大切にして、地方でも暮らしていける基盤整備が急務です。首都圏などに集中している法人税を地方に配分することも決まりましたが、そうした小手先の手段に満足することなく、地方の産業振興に抜本的な対策を求めていく必要があります。
年に一度の団らんではなく、年中、「家族の笑顔」があふれる故郷にしていきたいものです。
by shouichiro_sato | 2007-12-29 23:54 | 今日の出来事 | Comments(0)