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スーパーの女

 今週のNHK・BS2「衛星映画劇場」は、伊丹十三監督シリーズ。「マルサの女」「ミンボーの女」などに続いて、今夜は「スーパーの女」(1996年の作品)でした。

 スーパーマーケットを舞台にして、「お客様のために」を掲げて頑張る「正直屋」と、既存スーパーの乗っ取りをめざす「安売り大魔王」の戦いで、「鮮度や中身よりも安ければいい」という量販店に立ち向かっていく、宮本信子さん主演の痛快な物語。売れ残った魚をパックから取り出し、日付を変えて再びパックする「リパック」や、外国産の肉と和牛を重ねてスライスし、神戸牛として売るのが職人の技だと自慢する担当者。シシャモで増量したタラコのおにぎりなど、店舗の裏側を紹介して店の利益優先で消費者をだまし、誤魔化している商売のあり方に警鐘を鳴らしている映画でした。

 見終わって、映画から10年以上経っているというのに同じような誤魔化しが、あちらこちらで発覚し、大きな問題になった一年だと思いました。全く別の肉を使って製造した牛ひき肉や比内地鶏の加工品事件。売れ残った菓子類を製造年月日を書き換えて販売した老舗など、偽りだらけの一年でした。全国紙の社会面下から「お詫び」の社告が消えることがないほど、不祥事が続きましたから、ことし一年の世相を表す漢字が「偽」だったのもうなずけますが、こういう字が選ばれること事態、残念なことですね。

 それにしても、伊丹監督と宮本信子さんの映画は勉強になります。社会の問題や現象を的確にとらえて、善悪や正義感、あるべき姿を教えてくれています。今年の年末は、(いつの間にか)伊丹映画のファンになっております。

by shouichiro_sato | 2007-12-28 23:52 | 社会・話題 | Comments(0)  

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