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「コメ政策」の見直し

 戦後最大の農政改革と宣伝された「品目横断的経営安定対策」が、早くも揺らいでいます。国が支援する農家の対象を、4ヘクタール以上(北海道は10ヘクタール)の農家。または、20ヘクタール以上で5年以内に法人化を目指す集落営農組織として始まった同対策は、コメ価格が大幅に下落していることで初年度から頓挫しそうです。

 7月の参議院議員選挙では野党の民主党が、「小規模農家の切り捨てだ。農家の所得保障を実現する」と公約して農村部からも支持を集め、与野党が逆転する事態となりました。その上、米価の下落を受けて農業団体などは水田農業施策の充実や品目横断的経営安定対策の見直しを求める動きを強めており、政府・自民党は14日、補助金の対象となる農家の認定条件を緩和するなどの見直しを発表しました。10月下旬に今年産の余剰米を政府が買い取る緊急対策を決めたのに続く措置です。

 「作る自由、売る自由」などという言葉で市場原理ばかりが強調されてきたためか、政府の(今では農業団体が主体という)方針に従って生産調整を行なっている農家には何のメリットも無く、余剰米が増えるばかり。これでは専業農家や集落営農組織の存続も危うい状態にならざるを得ませんから、再度、コメ政策の抜本的な見直しが急務となってきました。

 水田農業の担い手を大規模農家と集落営農組織(将来の法人)だけに絞っていくべきか。それとも発想を変えて、コメの生産調整を撤廃して食用(輸出も含む)や飼料用、バイオ原料などの用途に応じて管理し、価格補償を行う新たな奨励金制度を導入することができないか・・・・・など、まだまだ議論の余地がありそうです。小泉・安倍両首相が唱えた都市型の構造改革路線に踊り過ぎ、わが国の水田農業の方向について(環境問題や文化の継承などの意味を含めて)国民的な合意が得られていなかったことを反省しなければなりません。

 余談ですが、「集落営農しか生きる道は無い」と昨年から県内の農村集落を知事が回り、営農組織の立ち上げは目標を上回ったとしている秋田県にとっても、恵まれた水田農業の基盤を活かす意味で、さらなる政策の検討が必要でしょう。


 《 付 録 》

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 きょうの午前10時10分過ぎ、秋田市内は雷をともなった暴風雨となり、街全体が暗くなりました。街路樹からは激しく落ち葉が舞い、霰(あられ)まで降ってくるなど、突然の大荒れの天気に、私もビックリです。(写真・山王大通り、秋田地方裁判所前。午前10時25分ごろ)

by shouichiro_sato | 2007-11-15 23:32 | 国政・時事 | Comments(0)  

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