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「大腸がん研究所」

 秋田に縁のある各界の専門家や知識人が執筆している、秋田魁新報の「月曜論壇」を楽しみにしています。きょうは昭和大学医学部教授で同大横浜市北部病院消化器センター長、工藤進英先生が興味のある提案をされていました。「秋田-健康“立県”-大腸がん研究所を中心にして」という、医療都市圏構想です。

 米国ミネソタ州ロチェスターのメイヨー・クリニックを参考にして、日本だけでなくアジアや世界から最高の診断と治療を求めてやって来るように、自然豊かな秋田の地で、今の日本に最も欠けている教養と感性の豊かな医師、研修医、医療スタッフ、学生を養成することができないか。高齢化率がわが国トップで進行し、大腸がん死亡率は全国一な秋田県こそ、我々を飛躍に導く最大要素を持っている――――と書かれていました。

 その論壇を読んで思い出したことがあります。羽後町長として在任中、町立羽後病院に勤務する整形外科の先生から、「小さな病院でも、医療の専門的な分野で全国から患者さんが来るような病院にしてみたい。米国のメイヨー・クリニックの様子を勉強してきます」と提案され、実際に米国への視察研修を了承したことがありました。帰国後の報告では、工藤先生の体験と同様に、ロチェスターの町はメイヨー・クリニックの城下町であり、かつての寒村が素晴らしい地域に変貌しているというものでした。

 かつて、秋田県では高血圧による疾患が多かったことから、県立の脳血管研究センターと成人病医療センターを立ち上げ、全国有数の脳疾患専門病院として評価されてきました。しかし最近では、慢性的な地方の医師不足を解消するために秋田大学医学部を充実することと、中核病院である厚生連病院の改築など、施設整備に施策が集中している感じがあり、これからの目指すべき方向については明確なビジョンが見えない状況です。

 発想の視点を変えて、秋田のかかえる厳しい状況を逆手にとった地域づくりに、私は興味があります。高齢化社会の先端を行く秋田県だからこそ、医療・健康をキーワードにした構想は大いに期待できると考えます。

 是非とも、工藤先生からはもっと詳しいお話を聞いてみたいものです。

by shouichiro_sato | 2007-10-29 23:57 | 秋田県 | Comments(0)  

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