教科書検定
2007年 10月 28日
教科書検定に関しては「検定そのものが憲法違反である」と主張した(高校日本史の)「家永教科書裁判」が有名です。ところが、2008年度から使用される高校日本史の教科書でも、沖縄戦の集団自決に日本軍の強制があったとされる記述について、教科書検定で修正されていたことが明らかになり、大きな問題になっています。
特に、歴史の事実をしっかりと受け止めてきた沖縄県では、9月末に約11万人もの人たちが抗議集会に参加して、県民を挙げて事実と違う教科書の内容に抗議。「軍の強制」という記述を復活させ、検定意見の撤回を要求する決議を採択していました。文部科学省がいうように、政治的な影響を排除して平穏な環境で審議を進めるとしても、審議会の議事録は公表されておらず、どういう歴史認識で記述の修正を求めたのか分かりませんから、その経緯も明らかにしてほしいものです。
ただ、安倍首相の退陣によって内閣や文部科学省の姿勢に変化があり、渡海文科相が「訂正申請が出た場合は、再度教科書検定審議会にかける」と発言したことから、27日には教科書執筆者の一人が記者会見して、訂正申請することで教科書会社と調整中であることを表明しています。
「都合の悪いことは削除する」とか「言うこととやることが違う」事例が多くなったのは何故でしょう。歴史や過去の出来事については、事実を誤魔化すことなくしっかりと受け止めて、同じ過ちを繰り返さないことが重要なはず。その範となるべき国家の仕事において、倫理感の欠如や不祥事が続いていることに、不安が募るこの頃です。
by shouichiro_sato | 2007-10-28 22:18 | 国政・時事 | Comments(0)