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JA秋田おばこ

 9,600トン(16万俵/60kg)の米を貯蔵することができる日本一の集荷施設「おばこライスターミナル」は、いよいよその威力を発揮する時期を迎えました。

 米の消費が激減して生産量とのバランスが崩れ、1俵1万円の米価となっている今年の秋は、コメ生産の比重が高い秋田県の農家にとって大変厳しいものとなっています。だからこそ「いかに有利な販売をするか」が、各農協の戦略として極めて重要なこととなってきました。コメの販売は「全農任せ」で独自の取り組みをしないところと、何とか「農家の手取りを増やしたい」と努力しているところの差が出てくるのは当然です。

 高校時代の先輩が常勤役員をしている関係で、県内でもコメの大産地である「JA秋田おばこ(代表理事組合長・藤村正喜さん)」の状況について教えてもらいました。正組合員数28,000人、水稲作付面積約20,000ha。コメの取扱量と販売高は名実ともに全国一ですから、こうした厳しい情勢の時こそ、対応が注目されます。

 その一つが「おばこライスターミナル」。荷受された玄米はコメの食味値などの成分を測定して仕分けし、コメの実需者(消費者)のニーズに合わせた対応をしている他、1トンのフレコンバックごとに生産履歴も添付して安全安心を保証している事。食味と品質を保持した安定供給を可能にしていることが挙げられます。

 さらに今年は、同JA管内で最も美味しいコメ(あきたこまち)を決めるコンクールを行い、上位入賞者を「おばこの匠」として表彰するといいます。生産技術を公開して農家の技術アップに役立てる活動や「秋田おばこ米」として消費者へPRするもので、共催する住友商事㈱が一俵2万円で買い上げ、「選り米」として高級百貨店などで販売されるといいますから、楽しみです。JA秋田おばこ_f0081443_20434847.jpg 
 
 事務所の壁には、自慢の「秋田おばこ米」を使用しているレストランや食事処に張り出しているポスターがありました。(写真) コメの主産地であるからこそ、美味しいコメを提供したいという取り組みと、身近な所でも産地としての誇りと自信を消費者にアッピールする姿勢は大事だと思います。ポスターを見て、そうした意気込みを感じました。

 農家の女性たちが直接、消費者に電話をしてパールライスの最高品質米「天恵米」の販売拡大をめざすJAうご(羽後町)。「土づくり実証米」として予約販売が殺到しているJA秋田しんせい(由利本荘市)など、県内でもJAの積極的な販売戦略が成果を挙げている例も多くなってきました。

 農家の「農協離れ」が懸念される中、今こそ組織のもつ情報収集とネットワークを発揮して、消費者と生産者(農家)の期待に応えてほしいものです。ポスターやライスターミナル(秋田新幹線から良く見えていますネ)に描かれている「おばこ娘」の微笑みが、お客さんを呼び込んでくれることを願っております。

by shouichiro_sato | 2007-10-23 21:26 | 産業振興 | Comments(0)  

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