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NHKスペシャル

 昨夜のNHKスペシャルは「ライスショック・あなたの主食は誰が作る」の第2回目。「危機に立つコメ産地」のテーマで秋田県の美郷町と大潟村を取材して、コメづくりの現場で苦悩する農家の姿を伝えていました。国は今年から、すべての農家を支援してきたこれまでの政策を転換し、4ヘクタール以上を耕作する認定農業者や20ヘクタール以上を基準として将来は法人化をめざす集落営農組織に支援を集中する、「品目横断的経営安定対策」を行なっています。すなわち、大規模な農家や農業法人でなければこれからの日本の農業は維持できないと政策誘導しています。

 しかしながら、現場の声は厳しいものでした。先祖代々が切り開いてきた中山間地の水田では、それを維持していくだけでも大変な苦労があり、後継者もいなくて大規模な作業体系はとても困難。条件に恵まれて集落営農に取り組んだところでも、米価が下落して経営の見通しが立ちません。モデル農村として水田面積が15ヘクタールの農家が誕生した大潟村でさえ、今では農家の一割以上が巨額な負債を抱えて経営危機に陥っているというのです。米の消費量が減っているとはいえ、強化される生産調整に協力してきたにもかかわらず、米価が生産費を下回るようでは、とてもコメづくりを続けることも、農家を育てることもできません。

 番組では食料自給率が40%を切っている現状から、「これは経済の原則的なことであり、コメも野菜と同じだ。これからはコメを含む食料の安定輸入に力を注ぐべきだ」、「農業こそ全ての日本文化の基本であり、主食のコメは守らなければならない」という大学教授や評論家の意見も紹介されていましたが、結局は「国民が自国の食料をどう確保するのか」という問いかけで、次回の放送「日本のこれから―どうする?私たちの主食(仮題)」(10月20日午後7時30分から放送予定)につないでいます。

 ただ、番組の中で国の減反政策と真っ向から闘い、作る自由と売る自由を実践してきた大潟村の㈱あきたこまち生産者協会代表取締役社長・涌井徹さんは、「これからの農業は『脳業』であり、アイデア勝負だ」と豪語していました。それでも自前の産地直送(消費者)会員は激減しているようで、同社にコメを販売している農家も価格の下落を心配しておりました。低米価が恒常化してきた今日では、特有の商才や経営戦略も重要ですが、それ以上に食料の自給率を維持するためにコメづくり(農家)を保護していくべきなのか、工業製品の輸出のためには農産物の輸入を積極的に進めるべきなのか、という国民の意思・選択にかかっていると言っても過言ではありません。

 しかし私は、日本特有の土地条件や環境からして、コメづくりを中心とする農業は絶対的に守るべきもの、保護していかなければ国の存亡すら危うくなってくると思っています。何故ならば、一時のめざましい経済成長は諸外国からの農産物輸入を増加させてきましたが、安全性への問題や世界的な需要拡大による価格高騰が懸念される状況になってきていますから、将来への不安要素は増大しているのです。

 仮に、一俵60kg当たり20,000円の米価に戻したとして、需給バランスを確保するための生産調整を堅持するならば、実際に消費者へ販売される価格はどれほど上昇するのでしょうか。そもそもコメの消費量が減っている中で、それが家計費にどの位の影響を与えるのか。特に中山間地の水田機能を維持することは我が国の環境保全にとっても重要なことですから、幅広い視点で国民の合意が得られるような世論形成が必要だと考えます。

 その意味でも、20日の「NHKスペシャル」を注目しています。

by shouichiro_sato | 2007-10-16 23:07 | 国政・時事 | Comments(1)  

Commented by syo at 2007-10-23 00:13 x
 「みのもんた」の昼の番組で、正一郎さんと仲間の皆さんの若かりし頃の「東京銀座嫁来いトラクターパレード」の様子が放映されていました。当時、域活性化の原点としてマスコミでも大きく報道され全国的に注目を集めた事を思い出しました。
 県農業生産額が1000億円も減少したとか、秋田の力が削がれてれて行くような気がします。
 私達も「銀座嫁来いトラクターパレード」を原点に、様々な地域起し実践し実績を上げて来た、羽後町の青年達の志を思い起こし、元気な秋田を創造して行きたいものですね。

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