惨めな退陣
2007年 09月 13日
安倍首相はインド洋での海上自衛隊の給油活動を継続するために「職を賭す」とまでの決意を表明していながら、その必要性について国民を説得することも無く、「自分が首相にいることが障害になっている」と自分勝手な理屈をつけ、「局面転換のために退陣する」と述べました。テレビの映像で見る限り、目はうつろで同じ言葉の繰り返し。社民党の福島党首には「ボクちゃんの投げ出し内閣」などと揶揄される結末でした。
健康問題もあったようですが、国の最高責任者として健康に不安があって職責を果たせないのであれば、はっきり事実を公表して辞任したほうが良かったのに、国民が理解できないような理由をつけて辞意を表明したのですから、結局は「無責任な首相」「政権担当能力が無い首相」のレッテルを張られてしまうことになるでしょう。小泉劇場で大勝した流れを受けて、国民の支持がそのまま持続していると思い込んで、強気な姿勢で突っ走ってきた反動が現れたのが7月の参院選でした。そこで惨敗したにもかかわらず、無理な続投がさらに状況を悪化させたといえるでしょう。
一夜明けたきょうの新聞やテレビの論調は、どれも厳しいものばかり。安倍首相を擁護する主張はどこにも見当たりませんでした。政府寄りといわれる読売新聞でさえ、「不始末を起こした閣僚の替え時といい、自身の引き際といい、ことごとく頃合いを逸し続けたことに呆れる半面(中略)何とも挨拶に困る辞任劇というほかない」(編集手帳)とさじを投げています。
しかし、政治の空白は一時たりとも許されません。新しい自民党総裁を選ぶ動きは始まっています。果たして国民が信頼できるような選出になるのか、自民党にとってはさらに重い課題が突きつけられた政局となりました。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という言葉もありますから、ここは自民党の国会議員や地方組織の代表の皆さんには、安倍さんの苦渋の決断を無駄にしないように頑張ってもらいたいと思います。
by shouichiro_sato | 2007-09-13 23:44 | 国政・時事 | Comments(0)