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10,000円では再生産できません

 全農秋田県本部は全県農協組合長会議を11日に開き、農家が出荷した時に支払う今年のコメの前払い金額を決めました。それによると、「あきたこまち」1等Aが1俵(60kg)10,700円、1等Bが10,000円で去年より1,650円下回り、あきたこまちが市場に出回ってから最も低い価格となりました。さらに、「ひとめぼれ」や「めんこいな」は1等Bが9,200円で、これまた史上最低の価格です。

 1俵10,000円は昭和48年頃の水準ですから、30数年前に戻ったことになります。昭和60年頃には政府買入価格が18,600円台で最高となり、平成9年までは16,000円台を維持していました。特に平成5年には大冷害で不作となり、自主流通米で22,800円の米価も経験しているだけに、その後の10年余りでの大暴落にはとても納得できません。一体、コメの価格形成はどういうことになっているんでしょう。

 全農秋田県本部では「農家の手取りが大きくなるよう努力したが、来年からどれくらいの金額が維持できるか分からない」(NHK秋田)。「販売体制を強化し、少しでも高く売って農家の手取りを増やしたい」(ABS秋田放送)と述べていますが、とても農家の販売活動の期待を担っている農業団体とは思えないように感じました。いつの間にか総合商社?のような物言いですね。

 米価がどうあれ生産費の削減には限界がありますから、最近の稲作所得は減少続きの状態で、再生産の意欲すら失ってしまいます。需給バランスを確保するために政府と農業団体が一体となって生産調整を実施してきたはずなのに、どうしてこんなに乱暴な価格が設定されるのか。これで日本の農業が維持できると思うのか、はなはだ疑問です。

 スーパーなどの店頭でコメの販売価格を見ると値下がりしているようには思えませんし、流通の過程でどんな経費が上積みされているのかも分かりません。この機会にそうした費用についても情報を開示し、食料の自給率を高める視点からも生産者と消費者がお互いに納得できる価格形成がされるよう、徹底的な検証が必要でしょう。

 組合長会議でどんな議論が行なわれたのか。10,000円のコメがどのように流通していくのか、その内容を徹底的に取材してみたいと思います。

by shouichiro_sato | 2007-09-11 21:45 | 産業振興 | Comments(0)  

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