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「菜の花」大作戦

 大王製紙が進出することを前提に、秋田県が秋田市飯島に110億円をかけて整備した65ヘクタールもの広大な工場用地は、企業の計画断念で宙に浮いており、その後に55ヘクタールを分譲したものの買取をした企業は無く、今後の利用が大きな県政課題となっています。

 こうした中、秋田県立大学の佐藤了教授の研究グループは、循環型社会作りの一環として同地で菜の花を栽培することを計画して県に申請していたところ、きょう10日に県の許可が下りたことをテレビのニュースで知りました。計画では約10ヘクタールの土地に今月15日ごろ種を蒔き、来年6月には収穫できるとか。研究グループでは食用の菜種油を精製して車の燃料として再利用し、県民に環境問題を考える場所として活用してもらいたいとしています。

 「菜の花」といえば県内では由利本荘市西目や大潟村が有名ですが、全国のトップは青森県の下北半島にある横浜町。既に昭和30年代前半から換金作物として栽培され、昭和43年には約750ヘクタールもの栽培面積があったそうです。その後は減ったものの、平成元年には83ヘクタールに回復して日本一になり、現在の栽培面積は120ヘクタール。花が満開になる5~6月は下北半島の風物詩としてすっかり定着し、全国からの観光客を集めています。

 工場用地とはいえ、一箇所で10ヘクタールの菜の花団地となれば見事なものでしょう。畑地や水田と違って、埋め立て用に運び込んだ土壌をどのように改良して栽培可能な土地にするのか。来年以降の連作障害への対応はどうするかなどの課題は多いことでしょうが、是非とも成功してほしいと思います。計画の申請を受けた県当局では「工業用地に菜の花?」という戸惑いもあったと思います。しかし、売れないままに更地にしておくよりも景観が良くなりイメージアップにつながれば、企業サイドの関心が高まることも期待されますし、(一石二鳥の効果があると)許可した判断も粋な計らいといえるでしょう。

 売れない工業用地を発想転換し、夢を与えてくれそうな「菜の花大作戦」。楽しみですね。

by shouichiro_sato | 2007-09-10 21:12 | 秋田県 | Comments(0)  

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