「しょうがない」防衛大臣の辞任
2007年 07月 03日
久間防衛相は30日(日)、千葉県柏市内で講演した際に第2次世界大戦でのアメリカの原爆投下について、自らが長崎県出身でありながら「あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。それに対して米国を恨むつもりはない」と発言。安倍首相もこの発言について「米国の考え方について紹介したと承知している」と、問題視していませんでした。しかし野党は「防衛相としてふさわしくない。あるまじき発言だ」(民主党・菅代表代行)、「不用意な発言であり、罷免要求までいく話だ」(国民新党・亀井幹事長)と、猛反発。与党内にも参院選への影響を危惧する声が出始めました。
その後の動きです。1日、久間防衛相は朝のテレビ番組で「別に訂正する必要はない。誤解を与えているとすれば丁寧に説明しなければいけない」と述べたものの、批判が拡大したことで正午過ぎに行なった長崎県島原市での記者会見で、前日の発言を事実上「撤回」。安倍首相は小沢民主党代表との党首討論会で「国民に誤解を与える発言は厳に慎まなければならない」と、ようやく適切でなかったとの認識を示しました。
2日、安倍首相が「厳しく久間防衛相に注意」して事態収束を図ろうとしましたが、被爆者団体などが抗議集会を開いて「大臣辞任」を求める運動が起こったのをはじめ、長崎市議会では「原爆投下容認発言撤回を求める意見書」を全会一致で採択。3日に田上市長が上京して久間防衛相に直接抗議することにしました。
きょうは連立与党の公明党からも辞任を求める声が強くなり、結局は「選挙優先」で大臣交代。政権のダメージ拡大を恐れて「かばい続けて」きたことも、安倍首相の決断力不足を露呈することになりました。(写真・辞任を伝える今夜のテレビ朝日「報道ステーション」) こうなるのであれば、問題発言があった時点で厳しく問いただし、罷免するぐらいのリーダーシップがあれば国民の信頼回復につながったでしょうが、今更悔やんでも「しょうがない」話です。安倍首相の「ひ弱さ」「軽さ」だけを印象付けた結末となっています。
会期を延長して数の力で強引に法案を通してきた手法も、良い印象ではありません。久間発言の時期(6月30日と7月1日)に行なわれた共同通信社の世論調査(3日付・秋田魁新報)では、安倍内閣の支持率は32・0%で昨年9月の内閣発足以来、最低を更新。参議院の議席でも「与党が過半数を割ったほうがよい」が52・4%で、「過半数を維持したほうがよい」32・5%を大きく上回っています。まさに崖っぷちに立つ安倍首相、起死回生の秘策はあるのでしょうか。
by shouichiro_sato | 2007-07-03 23:48 | 国政・時事 | Comments(0)