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思い出の潟分校

 田沢湖には時々行っていましたが、このところ新聞などで話題になっている「田沢湖町立生保内小学校潟(かた)分校」が何処にあるのかは知りませんでした。

 先日、仙北市西木町の友人を訪ねた機会に、国道105号経由で潟尻に入って春山方面に向かっている時、「潟分校」の看板を見つけました。集落の中にある学校だと思ってハンドルを切ってみたものの、村を外れて細い山道を約2㌔。周囲を山に囲まれた緑の環境の中にふるさとの学校がありました。学校の歴史は古く、明治15年に27.32坪の学び舎が新築落成。大沢と田子の木の二つの集落、約50軒の子ども達の教育の場として昭和20年代には3学級の複式授業が行なわれていたとの記録もあります。ただ、昭和49年には児童数の減少によって廃校になり、その後は地域の集会施設として利用されてきました。

 しかし、老朽化が進んだ為に平成14年には解体も検討されたようですが、田沢湖高原にある鶴の湯温泉社長の佐藤和志さんのご好意により修復が行なわれ、同16年に「思い出の潟分校」として蘇りました。佐藤社長は「地域の歴史や文化を見続けてきた木造校舎、そして美しい日本の原風景を残したい」(潟分校のパンフレット)と語っています。私もそこに足を踏み入れて、「懐かしいような」それでいて「先人の逞しさや情熱」が伝わってくるようで、感慨深いものを感じました。

 パンフレットの冒頭には、「田沢湖畔にここ30年近くひっそりと時を忘れていた分校がある。そのまま歴史を道連れに、朽ち果てていくのが時代の流れのような風景がそこにあった。それが、ふたたび時を刻む。田沢湖町立生保内小学校潟分校。いま新たな時への扉を開く」と書かれています。私は案内してくれた千葉佐喜子さんのお話に感激しながら、心豊かな時間を過ごすことができました。

 今年の2月には、秋田わか杉国体スキー競技に来県した秋篠宮様も訪ねてくれたそうで、玄関前には宮様ご来校の記念樹もありました。(写真・右手に秋篠宮様の記念樹)思い出の潟分校_f0081443_22171788.jpg

 校舎内には昔の教室がそのまま再現されており、階段や廊下には仙北市の四季や自然を題材にした素晴らしい写真も展示されていました。事務室(旧職員室)にある月間行事予定表を見せてもらったら、田沢湖を巡る羽後交通・定期観光バスの周遊コースになっていたり、近畿日本ツーリストの観光ツアーが毎週のように立ち寄るなど、話題も多いようです。

 田沢湖といえば秋田を代表する観光地でありながら、以前から比べるとお客さんは激減しているとか。確かに、有料道路沿いにあった「田沢湖スイス村」も閉鎖され、玄関口の春山周辺もひっそりとしていました。そうした中での隠れたスポット。旅人の主流が中高年の世代になっている昨今では、レトロな場所やゆっくりできる癒しの空間が存在感を示しています。国道46号から砂利道を5㌔も山奥に行く「夏瀬温泉・都わすれ」が人気なのも、そうした時代の風を受け止めているからでしょう。先日も台湾から来た要人が利用したとの噂で、またまた人気が急上昇。皆さん、秋田には優れた資源が豊富なんですよ。

by shouichiro_sato | 2007-06-08 22:43 | 秋田県 | Comments(0)  

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