行政サービスに「格差?」あり
2007年 04月 27日
番組では財政難の理由について、①地方交付税の大幅な削減、②(地方の)景気低迷による税収の減少、③景気対策の名目で投資された過去の負債の影響、④高齢化社会による社会保障費などの増大があると分析して、こうした厳しい現状の中で「どのようにして行政サービスを維持し、向上させるか」をテーマに専門家やNPO代表、福島県の村長らが意見を述べていました。
中でもこれからの方向としてVTRで紹介されたのは、事業の取捨選択を行なって将来を担う子ども達や弱い人たちへの支援を充実してきた「選択と集中」の事例(山形県東根市)。役所任せだった事業を住民の視点や発想で取り組むという「住民参加」のまちづくり(岩手県北上市)など、財政難でも創意と工夫で頑張っている自治体でした。財政が厳しいから何でも削減していくのではなく、そうした状況下にあっても「理想とするまちづくりの理念を失わず、住民に情報公開して財政事情に対する共通認識を持ち、自治体と住民が協働している」姿が印象的でした。財務省出身の専門家も、「昔は住民が協力して何でもやってきた。それが今日の行政サービスに発展してきたが、国などの関与(補助事業の採択基準など)が多くなり、結果においてコスト高になっている」と指摘していましたが、住民生活に直結した身近な事業こそ、創意工夫があればサービスは向上できると思いました。
ただ気になった事例に、「日本一の福祉の町」として評判だった旧鷹巣町の福祉事業の見直しが、町村合併によって新市の負債残高(借金)が3倍にもなったために実施されているような報告がありました(先日のNHK教育テレビでも同様に紹介されています)。しかし、町民の皆さんは合併問題が始まる前の町長選挙で、福祉事業に偏重している町の施策に異議を唱えて方向転換を選択したのではなかったでしょうか。その時点で見直しが始まっていたのですから、この解釈には疑問あり・・・です。
結局、どんな時代であっても財政には一定の限度があり、住民自身が「どういう方向を選択するのか」でしょう。しっかりした情報公開と共通の認識があればおのずと方向は決まってきますから、住民の負託を受けている首長も議員も積極的に議論をし、選択肢を示していきましょう。自治体によってサービスに特徴があってもいいではありませんか。それを格差と見られないような情報の共有が必要だと思います。
by shouichiro_sato | 2007-04-27 22:27 | 国政・時事 | Comments(0)