「川反食堂」が閉店
2007年 04月 22日

「川反食堂」は同所で自転車店を営んでいた佐藤慶助さん(70歳)が昭和49年にオープンして以来、今日まで田代地区の住民の拠り所として、さらには田代を訪ねてくれた人たちの社交場として賑わってきました。「嫁こいトラクター・デモ」などのユニークな活動をしてきた「田代後継者会」の発起人会が開かれたのも同食堂の2階。田代農協や役場支所の会合での懇親会の例会場。NHK総合テレビの全国番組「昼どき日本列島」で、田代の「花嫁道中」が生中継された時の現場にもなりました。 (写真は川反食堂の閉店を伝える4月19日付・秋田魁新報)
ここのメニューのお薦めは何といっても「納豆ラーメン」。佐藤さんが地元の郷土料理である「納豆汁」からヒントを得て、昭和55年に店頭デビュー。キャベツなどの野菜たっぷりの味噌ラーメンとドンブリの底に隠れたひき割り納豆の絶妙なバランスが人気を呼び、名物ラーメンとして専門書やマスコミで数多く紹介されてきました。
しかし、田代の中心的な存在であった田代農協が平成10年に合併して、「こまち農協田代支所」になり、役場の「田代支所」も一昨年に廃止されたことから、利用者が減少していた模様です。そのうえ佐藤さんも今年で70歳。これを区切りに店をたたむことに決めていたといいます。先週初めには、感謝の言葉とともに「21日に閉店」する旨の新聞折り込みの広告が町内に配布されました。
ところが、閉店を惜しむ往年の「納豆ラーメン」ファンが大勢押しかけ、店は連日、超満員。私の家族がお邪魔した閉店前日(20日)の昼には、何と1時間30分以上の待ち時間だったとか。午前11時の開店と同時にお客さんがやってきて、「閉店の午後9時まで立っぱなしだった」「身体が続くか心配だった」と、嬉しい悲鳴をあげていました。それだけ地域に愛されていたのですね。

きょうの夕方、食堂の前を通りかかったら佐藤さんが「21日に閉店しました。誠にありがとうございました」という張り紙をしておりました。私は昨夜、秋田からの帰りに食堂に寄って「お疲れ様でした」と挨拶してきたものの、所用があって最後の納豆ラーメンを食べることはできませんでした。申し訳ない気持でいっぱいですが、今後のご健康とご多幸を祈念して写真を撮らせていただきました。「川反食堂」の長年に亘るサービスに、心からお礼申し上げます。
by shouichiro_sato | 2007-04-22 19:53 | 羽後町 | Comments(0)