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物足りなかった千秋楽

 あっけない一番でした。

 大相撲春場所はきょうが千秋楽。昨日の14日目に直接対決し、1敗の大関・白鵬を「引き落とし」で破って12勝2敗の相星にした横綱・朝青龍。私はテレビ桟敷で両者の優勝決定戦を期待していました。

 白鵬は大関・琴欧州に「すくい投げ」で勝ち、「これで優勝決定戦になる」と喜んだのもつかの間、朝青龍の相撲は突っ込んでくる大関・千代大海に身をかわして、一瞬の「はたき込み」。まさに横綱が勝ちにいった相撲で、(大阪府立体育館のお客さんのみならず)テレビの前のファンも「あっけに取られた」、何とも言いようのない一番でした。確かに初日から2連敗をし、その後に12連勝してきた横綱の、優勝にかける執念みたいなものを感じましたが、正直言って残念な内容でした。

 そして、優勝決定戦。白鵬が入場しても横綱は支度部屋から出てこないという異例のプロローグがあり、土俵に上がってからは横綱が塩を手にして待っているのに、白鵬が蹲踞のままじっとしていたりと、場内は異様な雰囲気で盛り上がってきました。当然、テレビ桟敷も興奮してきます。しかし、勝負は一瞬。立会いに左に変わった白鵬が横綱の首辺りに手をやると、朝青龍はとっさに左手を土俵についてしまい、勝負あり(決まり手・はたき込み)。おもわず苦笑いする横綱でした。

 優勝インタビューで白鵬は「(変化は)とっさです」と答えていましたが、過去の相撲内容からして熱戦を期待していた私としては物足りない一番。「勝ちたいというときには、こんな手もあるのか」と、複雑な気持でした。テレビで解説をしていた北の富士勝昭さんは「横綱は相手に相撲を取らせてから自分の相撲で勝つものだ。それでこそ横綱だ」と言っていましたが、今日の朝青龍と白鵬の二人にはそうした相撲を期待していましたが、結局二人とも「勝ちにいった」相撲内容のようで、どことなく、後味のすっきりしない千秋楽でした。

 「綱とり」の期待がかかる白鵬の2度目の優勝にも拘らず、勝負が決まった瞬間から席を立つお客さんも多く、表彰式の間もそんな光景がテレビに映っておりました。勝負の世界ですから結果が大事なことはわかりますが、内容が伴ってこそファンやお客さんが増えることを忘れて欲しくないですね。横綱や大関陣よりも、負けても一生懸命に相撲をとっている感じがする「高見盛」関に大声援があり、大相撲ファンが喜んでいることを、よ~く考えてもらいたいものです。

by shouichiro_sato | 2007-03-25 20:39 | 今日の出来事 | Comments(0)  

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