「男鹿みなと市民病院」のこと
2007年 02月 28日
町立羽後病院もかつて医師不足が深刻になり、台湾から招聘するなどして病院の存続に苦労してきた歴史があります。そうした経験から、地元の医師を確保するために奨学金制度を設けて、町立病院に一定期間勤務してくれれば資金の返済を免除するという条件で実施したのでした。しかし結果は、医学部に進学する時点で制度を利用した人はいましたが、卒業と同時に「故郷へは帰らず、もっと勉強したい」として他の病院に勤務してしまい、資金は年賦で返済するとのこと。開いた口がふさがらなかった思い出があります。
以来、医師の確保は医師にとっても「魅力ある病院づくり」に尽きると考え、施設整備や医療機器の充実、赤字体質の解消に努めてきました。毎年、町の一般会計から病院の特別会計に多額の繰り入れをしていますが、町内に立派な信頼できる病院があることが「最大の福祉」政策と考え、議会の理解と協力をいただいてきました。その結果が、今日の町立羽後病院であると自負しています。
県内では総じて自治体病院の経営が苦しく、累積赤字が膨大になっているところもあります。地域にとって必要であり、今後も存続していくのであれば、先ずはその解消が重要でしょう。単年度では無理にしても、3~5年位で累積赤字を解消するぐらいの経営改革と財政負担をしないと、現場も意欲を失ってしまいます。先も見えずにズルズルしていることが、さらに問題を先送りしている感じです。
男鹿市の場合も、抜本的な対策をとらない限り医師の確保が順調に行くとは思われません。民間の医療機関も手薄で県立病院もない秋田県の場合、厚生連病院や自治体病院が地域医療の中核となっているのが現実ですから、県は県民の医療を確保する視点で、そうした病院の経営再建資金を準備するなど、政策的にもできることはまだまだあります。
病院改築などの施設整備には熱心な首長は多いのですが、大切なのは「その施設が充分に機能を発揮しているか」であることを、為政者は忘れてはいけませんね。
by shouichiro_sato | 2007-02-28 21:11 | 秋田県 | Comments(1)
お父様の事が心配されます。元気で退院出来ますようにお祈りしております。両親、子どもたちを安心してお任せできる病院がなくならないようにお願いいたします。