「12月定例県議会」始まる
2006年 12月 05日
先に報道された同ビジョン素案(6パターンあり)では、秋田の喫緊の課題である「子育て・教育」の推進には、県の他分野の事業を圧縮したとしても財源不足は避けられないとして、新たな県民負担の金額まで示されていました。しかし、県の政策として「子育て・教育」を重要事業に位置づけるならば、いまある財源の中で「やり繰り」して県民の理解と協力を求めるのが常識でしょう。人口減少が続き少子化も顕著、若い世代の雇用も少なく県外流出が多い中で、更なる負担増では「負」の連鎖が循環するようなもので、心配です。
一般的には政策の内容について議論することはあっても、財源や財政構造についてまで県民が分析し、理解することは至難の業。そんな訳で、知事の発言は既成事実のようになって県民に浸透しがちですが、最後に負担を求められるのは県民なのですから、同ビジョンについては慎重に精査する必要があります。それこそ県政に精通している県議会議員の役割です。
道州制についても同じことが言えます。推進論者である寺田知事は、3日付けの河北新報のインタビュー記事で、「理想は東北6県(の合併)だが、前段階の現実的な対処として、北東北3県でまとまっていい。民意を確かめる時期に来ており、県の単独予算でも3県の調査をしたい。」と、さらに踏み込んだ発言をしています。
そもそも道州制とはどういうものなのか。地方分権とはいっても財源と権限はどうなるのか。市町村と道州の役割分担はどうなのか、などという基本的なスタンスも定まらない中で、知事は積極的です。こうした背景には何があるのか。県単位で物事を考える時代は終わったという認識には理解できるものがあるとしても、さらに広域連携を進めることで成果もあるはず。国の三位一体改革を「都会中心の発想が多く、競争重視の結果、格差が広がった」と批判しながら、道州制については県民の意識とかけ離れていると思われる言動をすることについても、議会では大いに議論してもらいたいと思います。
多様な県民の意見を吸い上げて、活発に議論することこそ議会の任務です。議員の皆さんには与野党や政党・会派の立場を超えて、秋田県の進むべき道筋について県民が理解できるよう、頑張ってほしいと願っています。
by shouichiro_sato | 2006-12-05 17:42 | 秋田県 | Comments(0)