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危うし、「地方自治」

 「補助金は基本的な行政サービスを全国一律に確保するために必要な制度だとしても、地方交付税はまったく不要かつ有害である。本来、直ちに廃止すべきだろう。」と、24日付の毎日新聞・経済面のコラム「経済観測」は書いています。さらに続けて、「地方交付税を廃止し、それに見合う税源を総体として地方に移譲することこそ、正しい地方自治をもたらすものだ。」「与えられた税源を投資誘導や技術革新などに使って地域経済の涵養を図ることなく、自助努力の要らない地方交付税に依存しようというのは、たかり根性にほかならない。」と、厳しく指摘しています。

 確かに、真の地方分権を進めていくには財政基盤の確立は重要課題です。地方の経済を涵養して自治体として自立できる産業構造にしていくことは、政治家なら誰もが望むことでしょう。しかし、現実はそれぞれの自治体が置かれている地理的条件や自然環境、インフラ整備の状況などには大きな違いがあり、職場が多く人口が集積している都市周辺と人口減少が著しい地方に同等の対応を求めることは不可能です。

 高速交通体系の整備や情報通信技術の発達は、国土の均衡ある発展に威力を発揮するものと期待しましたが、人、物、金の一極集中は加速するばかり。過疎と過密の課題も拡大する一方です。最近では自動車、電機などの一部大手企業の地方展開も進んでいるものの、地域格差は存在しますから、今一度、国は地方振興の政策を掲げる必要があります。何故ならば、首都移転構想などに見られたように地方重視の政治が動き出したころ、バブルが崩壊して経済成長が止まり、地価や株が大幅に下落。国家財政も危機的状況ですから、「金融再生」「都市再生」政策が最優先された政治が今日の状況をつくり出していると思うからです。

 結果、経済は持ち直して税収も増えてきた反面、「格差社会」という言葉に代表されるように地域や所得のバランスが崩れてきたことも事実です。それをあたかも「地方は何も努力していない」と言われては納得できません。北海道夕張市の財政再建団体問題や相次ぐ知事の汚職事件を機会に、地方には無駄遣いが多いとして「地方交付税」廃止論が大きくなるとすれば、さらに「地方自治」は危うくなってくるでしょう。

 今日、首相官邸では政府主催の「全国知事会議」が開かれました。安倍総理は何を主張し、また不祥事続きの知事会側はどんな意見を述べたのか、注目されます。 

by shouichiro_sato | 2006-11-24 20:06 | 国政・時事 | Comments(0)  

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