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「農業県秋田」を復活させよう

 「日本の食糧基地」を標榜するのが、秋田県農業の方向でした。しかし、昨年の秋田県の農業産出額は東北で最下位。全国でも20番目という状況です。

 11月1日、農林水産省が発表した平成17年の国内農業産出額によると、秋田県の総額は1866億円(前年比4.4%増)。北海道の1兆663億円はダントツとしても、2位は鹿児島県で4168億円。次いで茨城県が4162億円、千葉県が4161億円です。東北のトップは青森県が2797億円で、岩手県2541億円、福島県2500億円、山形県2125億円、宮城県1997億円と続いています。

 産出額の多い県に共通する特徴は、畜産物や野菜、花卉などの園芸作物の生産が盛んなこと。秋田県の場合は産出額の61.0%が米であり、米への依存度が高い状態が続いています。秋田県の環境が米作に適しているとはいえ、農家の所得は減少の一途で、農業県としての産出額が伸びない要因は、「米偏重からの脱却」が進んでいないところにあるのは明白です。

 かつて、鹿児島県の農業を視察したことがありますが、県の面積は秋田より少なくて大きな水田地帯も無く、地理的条件は厳しい地域だった印象があります。しかし、畜産の主要な分野である肉用牛、豚、鶏ではそれぞれ全国一の産出額なのです。畜産経営では飼料の確保が重要ですが、鹿児島県が飼料生産全国一ではありませんから、畜産振興を柱とした県の農業施策が今日の実績をつくっているのです。BSE(牛海綿状脳症)問題で米国からの牛肉輸入禁止という追い風もありましたが、日本の品質管理や安全・安心への信頼が確保されてきたため、畜産物は国際価格に対抗できるまでになり、鹿児島県の農家の皆さんは意欲に燃えていることでしょう。

 振り返って、秋田県農業を振興するにはどうすればよいのか。結論は見えています。立派に整備された圃場に換金性の高い作物、例えば野菜などの作付けをもっともっと奨励するべきです。さらには畜産振興です。小坂町の「桃豚」のように、企業的経営で畜産の団地化を進める必要があります。個々の優れた経営者は多くいますから、そうした方々を核として地域に拡大する戦略を立てましょう。

 「あぜ道ミーテング」で集落営農を勧めるのも大切でしょうが、抜本的に秋田県農業の構造改革に取り組まなければ、後継者もいなくなり、やがては農地も荒廃していくことでしょう。行政も農業団体もそうした危機意識を持って頑張りましょう。折りしも潟上市では「第129回県種苗交換会」が開催されています。歴史と伝統があり、秋田県が全国に誇りうる行事ですが、その名に恥じないように農業の実績でも全国一を目指しましょう。

by shouichiro_sato | 2006-11-02 21:19 | 産業振興 | Comments(0)  

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