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「赤信号は止まれ」、と教えられました

 「赤信号 皆で渡れば 怖くない」、そんな思いになってしまいました。

 富山県の高校で発覚した必修科目の未履修問題は、41都道府県の約400校に上ることが判明し、7万人の生徒が単位不足になる見込みとか。このままでは大学受験ができなかったり、来年3月に高校を卒業できない可能性もあり、由々しき事態です。原因は必修科目である世界史を大学入試の科目で選択しなくてもいいために、授業のカリキュラムに組み込んでいなかったという単純なものですが、目指すべく高校教育の本質を逸脱してしまった学校関係者の責任は重大です。

 「学習指導要領」の改定や教育改革を唱える前に、現行の学習指導要領に従わない授業が行われ、学校ぐるみで容認してきたこと。県教育委員会もそうした実態を把握していなかったこと。今年に限ったことではなく、以前からあったのではないかと思われることなど、抜本的に解明されなければならない問題が山積しています。

 高校は予備校とは違いますから、伊吹文明文部科学大臣が「学習指導要領に従った授業を受けた生徒と不公平が生じてはならない」と述べるのは当然です。ただし、深刻な事態を受けて政府は救済策の検討を開始したと報じられていますから、どういう対応策があるのか注目されます。最初に発覚した富山県の高校だけなら、厳しく学校関係者を叱責して責任を取らせて済んだかもしれませんが、これだけ全国に拡大している状況をみると、大学入試を最優先とする高校教育の実態があるようで、教育界全体の問題であり複雑です。

 それにしても最近のニュースでは、校長先生が頭を下げて謝罪する映像が多すぎます。本来、教育の現場こそ嘘や偽りも無く、純粋なものであるはずなのに、何故に誤魔化しや隠蔽が多くなったのか。現場の先生方の声を聞くと、「ゆとり教育」とは裏腹に計画策定や報告などの管理作業が多くなり、教育効果を数字などで評価する傾向が増えているとか。先生方も伸び伸びと生徒と接することができない、とも言われています。どこかが歪んできています。

 「赤信号は止まれ」 子供達に教える前に先生自身が守らなければ、社会のルールは崩壊してしまいます。

by shouichiro_sato | 2006-10-28 21:06 | 社会・話題 | Comments(0)  

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