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秋田の酒工楽(さかぐら)・福乃友

 「福乃友」というお酒を知っていますか。仙北平野のど真ん中、大仙市神宮寺の豊かな自然に恵まれた田園地帯にあり、大正2年(1913年)に創業した、個性的な酒造りを目指している酒蔵で造られています。初代当主・福田秀一と杜氏・高橋友五郎の氏名から一文字ずつをとり、「福乃友」と命名したそうですから、 「協調と発展」への願いが込められているお酒です。

 秋田から大曲まで国道13号線を移動する途中、神宮寺駅前の交差点で信号待ちする度に「福乃友の蔵」という看板が目にとまり、何度か立ち寄ったのですが、あいにくの定休日(火曜日)ばかり。それが今日、念願かなって訪ねることができました。

 平成16年(2004年)11月。福乃友の酒蔵は、古い蔵に新たな命を吹き込むべく、大正時代の姿に復元されて生まれ変わりました。従来の酒蔵見学はもちろん、蔵の中での試飲体験などの日本酒の魅力あふれるコーナーが加わり、「酒工楽(さかぐら)・福乃友」としてオープンし、一般公開しています。そうした取り組みに感激しておりましたし、どっしりとした格式のある店構えにも興味がありましたので、是非とも行ってみたいと思っていました。

 玄関を入って驚いたのは、昔の当主の住まいと事務所、酒蔵などが一体となって公開されていることです。現在の経営者の方は自宅に御住まいとのことですが、「生きもの」のお酒とともに暮らしていた当時の気迫が伝わってくるようです。仕込みに使われる「軟水」の地下水も流れており、いまだに手洗いで行われる「洗米場」、蒸米をつくる「釜場」、酒を造る蔵「醸造庫」、熟成用の蔵「貯酒庫」、そして全工程の指令室となる杜氏部屋などに、蔵人たちの魂が宿っている感じがしました。

 蔵の自慢は、亀の尾で造った純米大吟醸酒(限定品)。小粒米の酒米「亀の尾」を限界まで精米し、大吟醸造りの技術で少量手造り。さらに2年以上熟成させるというもので、全国のコンクールでも優勝しています。もちろん、純米吟醸酒や純米酒、本醸造もありました。現在の杜氏は「山内杜氏」の鶴田惣太郎さんで、福乃友の蔵一筋に35年以上の経歴を持ち、先代の秋田流吟醸造りを受け継いでいます。

 案内してくれた職員の方はとても親切で微笑ましく、心豊かな時間を持つことができました。運転中でもあり、試飲をすることはできませんでしたが、手入れの行き届いた庭を見ながら、仕込み水で入れたコーヒーをいただき、本醸造「嶽」を一本お土産にしました。皆さんにもお薦めのスポットですから、神宮寺を通るときには是非とも寄ってみてください。 

by shouichiro_sato | 2006-09-13 23:52 | 今日の出来事 | Comments(0)  

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