知事選挙が告示されてから、マスコミからはどの程度の投票率になるのか問われました。秋田市や由利本荘市、湯沢市では注目される市長選挙もあり、4年前の知事選より上がって「60%程までいくのでは」と回答。さらに最近の選挙では期日前に投票する有権者が増えており、先に行われた鹿角市議選でも投票者の約半分は期日前投票に行っています。知事選も期日前投票の投票率は30%に達しており、この状況では最終の投票率は60%に近いと期待していました。
しかし、投票箱が閉じられた午後8時での最終投票率は56.56%で、前回を下回って過去最低を更新。市長選があった湯沢市や由利本荘市、佐竹氏の出身地である仙北市では65%前後まで上昇したものの、秋田市は53%台。大館市や鹿角市、北秋田市、男鹿市、潟上市では51~53%程度でした。投票日の天候が県内全域で雨模様となり、出足が鈍ったとも思われますが、投票所に足を運ぶだけの関心を呼ぶ選挙にはならなかった?・・・のでしょうか。
村岡氏は県政の刷新を訴えるものの、論戦は盛り上がりを欠いているとの指摘がありました。告示前に開かれた公開討論会でも現職に対する質疑はなく、有権者が気になる「争点」も浮上しません。さらに秋田県内の新型コロナウイルス感染者が全国で最も低い水準にあることから、「現状のままでいいのではないか」という判断もあったことでしょう。
結局、60%に届かない投票率では、組織の基盤がある現職に対して村岡氏への票は上積みできません。当日の有権者は83万9千人余であり、5%投票率が向上すれば投票総数は4万票増えるのです。
投票日の4日、当日の出口調査では佐竹氏と村岡氏の状況が拮抗しており、投票締め切りの8時に「当選確実」の報道はないと思っていました。しかし、民放のテレビ局は早々と「佐竹氏、当確」を報じ、村岡氏も万事休す。最終の開票結果は、4選を果たした佐竹氏が23万3305票。村岡氏は19万3538票で、その差は3万9767票でした。選挙結果を受け、支持政党や支援組織の無い村岡氏が善戦したとの評価もありますが、首長選挙は「善戦」ではいけません。何とも残念な結果となってしまいました。
ただ、当選した佐竹氏は2期目は無投票当選。3選を果たした4年前の選挙では33万5795票を獲得していました。しかし今回は、前回の得票より10万票以上落としています。新人3人の得票総数は佐竹氏を上回っており、佐竹氏の得票率は49.52%。有権者の27.8%しか佐竹氏に投票していない状況をどう見るべきか。佐竹氏は優しい県民が示した心をしっかり受け止め、「最後の奉公」に努めなければなりませんネ。