佐竹氏を支持・推薦する政党や団体の動きは当初、あまり活発でないように感じました。選挙戦が始まる前の客観的な情勢からみると、現職が新人に負けるわけがないという、自信があったのでしょう。告示前の政治活動についても、佐竹氏の政策パンフレットを配る程度で、目立った動きはありません。自民党本部が2月に行った調査でも「村岡氏とは17ポイント程の差がある」との情報もあり、楽観ムードです。
ただ、知事としての在職期間が長くなり、健康不安もある佐竹氏に対しては様々な意見があり、県民の「声なき声」はどうなのか。自主投票と決めていた立憲民主党の県連幹事長が佐竹氏支持を表明したり、自民党の若手県議会議員が2月下旬に出馬を検討するなど、思惑?が絡んだ複雑な動きも表面化。自民党を離党したベテラン県議が村岡氏の選挙対策本部長に就いたことで保守分裂の見方もあり、自民県連幹部の県議は「厳しい戦いになるのではないか」と心配していました。
一方、村岡氏にとっては全県下で選挙を行う体制づくりが必要でした。県南部には国政選挙を行ってきた後援会組織があるものの、県央や県北の地域でどのようにして選挙運動を行うのか。ポスターの掲示や選挙用はがきの準備、遊説の日程や街頭演説の場所をどうすればいいのか。支援する県議会議員のいる地域は対応できるとしても、それ以外の地域は全くの手探り状態であり、政治活動の拠点もありません。陣営ではそうした体制の構築が最大の課題です。
県議会議員は(2人が辞職し)41人。共産党の1人を除いて、村岡氏の支持を表明しているのは7人。自民、社民、公明、つなぐ会、それに無所属を含めて(中立だという議員もいますが)33人が現職を支持。こうした構図が如実に表れてきたのが、選挙戦の後半です。
前半は「佐竹氏先行、村岡氏追う」と報道されていたものの、中盤には村岡氏が追い上げ「その差は数ポイント」との情報も。ここから自民党組織のエンジンが始動しました。国会議員や市町村長を総動員して、現職の新型コロナ対策やインフラ整備などの実績をアッピールし、「知事が替われば、コロナ対策も県政も停滞する」と訴えます。街頭演説の会場には多くの皆さんを動員し、組織力を発揮していきます。「言語不明瞭?、足取りも不安定」な佐竹氏でしたが、老体?に鞭打って頑張る姿に同情する声も出始めました。
県議会で自民党が議席を独占している鹿角市・鹿角郡(2人)、北秋田市・北秋田郡(2人)、南秋田郡、男鹿市、仙北市(各1人)。さらに大仙市・仙北郡では自民・社民・無所属の5人の議員全員が佐竹氏を支持。秋田市では11人(欠員1)のうち、9人が佐竹氏を支持する状況で、普段の組織力には敵いません。
遊説で走行中に受ける対向車からの反応や、街頭でのあいさつ活動では日増しに手応えを感じるものの、組織力の持つ大きな壁にどれほど穴をあけることができているのか・・・・、不安でした。
(明日に続く)