新人の村岡敏英氏は「県政の再起動」をメインテーマにして、人口が大幅に減少している秋田県の現状に歯止めをかけ、停滞から躍進への政策を具体的に訴えました。
「農林水産業の付加価値を高めて、販売高を倍増させる」「秋田県の賃金は低すぎる。若者の定着のためにも県が率先して企業に協力を求めて賃金アップ、所得の向上を果たしたい」「23年連続全国ワースト1のがん死亡率から脱却するため、世界最先端の消化器がんセンターを設置する」「陸上自衛隊新屋演習場には総合防災拠点を設置し、全国に貢献する」。さらに「全国に知事は47人しかいない。課題が多い秋田県だからこそ積極的に発言していく」などと主張しています。
佐竹氏は新型コロナウイルス対策や農業のメガ団地育成などの実績を強調しながら、コロナ後を見据えた産業振興を訴え、今までの県政運営に問題はないとして「継続」に理解を求めています。村岡氏の地盤では「再起動は必要ない」「(自民が推薦した)私が負ければ、菅降ろしが始まる」などと、相手を意識した発言をしていました。
新型コロナウイルス禍で、大規模な集会や個人演説会が開催できないことから、候補者はそれぞれがFacebookやTwitterなどのSNS媒体を使用して公約や選挙運動中の行動を配信。村岡陣営では言語明瞭で力強く訴えている街頭演説の模様を、生中継などを含み、ほぼ毎日発信しています。
一方、佐竹陣営では街頭演説の内容に「言葉が不明瞭で聞きとれない。何を言っているのか分からない」との声があることから、中継などの生配信はせず、支持者が集まっている場所の静止画(写真)のみ。動画で紹介しているのは、自宅で料理を作る姿やネコと戯れる様子などで、選挙戦の模様は紹介されていません。高齢で体調にも心配があることから、「話をさせるな。タッチは代表者だけでいい」との指示?でもあったのでしょうか。
佐竹氏が街頭演説で、どういう内容の話をしているのか。結局は最後まで把握できないまま、遊説が続いていきます。その結果、候補者の主張に明確な違いがなく、争点は佐竹県政の「継続か、刷新か」になっていました。一昨年の参院選ではイージス・アショア配備の是非が焦点になり、自民の現職が落選しましたが、今回の知事選ではそうした論点がないままに、日々が過ぎていきます。
その為に村岡氏は佐竹氏との違いをアッピールしようと、街頭での演説と活動を重視。少人数でも有権者がいればマイクを持って自身の主張を展開。フットワークよく駆け付けるなど、17日間を走りに走り回りました。SNSでもそうした動画を積極的に配信しています。
しかし、SNSのフォロワー数は佐竹氏も村岡氏、それほど伸びていません。SNSで情報収集している世代や県民はまだまだ限定的であり、選挙戦を盛り上げる演説会などができない新型コロナ禍における選挙運動の方法に、もどかしさを感じました。
(明日に続く)