願人坊主
2014年 10月 25日
元文化庁主任文化財調査官・田中英機氏の講演「願人踊の系譜」によると、傘(からかさ)一本を持って放浪の旅をし、傘の下で祭文に節をつけて唱え、「伊勢音頭」や「かっぽれ」などを歌い踊ったとされる、芸人達の代表的な存在が「願人坊主」。彼らが伝えた芸を通称「願人踊」と呼び、その土地の祭りや民俗と結びつき、今日まで念仏の風流芸として伝わってきた・・・・・。
女性の踊り手による「小島願人踊」。伊勢踊りと歌舞伎の段物を取り入れた「駒衣の伊勢音頭」(埼玉県美里町)。黒い法衣で踊る「願念坊踊」(富山県小矢部市)。伊勢音頭の流れをくむ踊りに歌舞伎の一場面が演じられる秋田県八郎潟町の「願人踊」。それぞれに特色がありながら、所作のところどころに共通した動きがあるなど、興味あふれる公演でした。
踊りの途中で演じられる歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の五段目「山崎街道」の一場面は、願人踊の大きな特徴で、埼玉県美里町の踊りでも紹介されました。
(写真・八郎潟町の願人踊に登場した、与市兵衛と定九郎)
八郎潟町では一日市郷土芸術研究会が願人踊を継承。昭和56年には後継者の育成を目的に「子ども願人踊」が発足し、地元の小学生が参加しています。民俗芸能の祭典では、同会による「子ども願人踊」、隣接する井川町の「今戸子ども願人踊り」も披露されています。
by shouichiro_sato | 2014-10-25 23:19 | 秋田県 | Comments(0)