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大館能代空港

 秋田県内に2番目の空港として、平成10年に開港した大館能代空港(北秋田市)の利用実績は当初の需要予測を大きく下回り、存亡の危機にあります。開港時は東京・大阪・札幌便が各1往復、計6便でスタートしたものの、今は東京便2往復と大阪便1往復の運行。その大阪便も来年1月4日で廃止することを、きのう全日空が発表しました。

 運行されている便数が少なく、搭乗率も低迷している状況では空港の経営は厳しく、大館能代空港の赤字は年間3億7千万円ほど(平成20年度)。北東北3県の中心にあり、平成19年の「秋田わか杉国体」や20年の「全国植樹祭」などのイベントもありましたが、悪天候による欠航が多く、座席数の少ない小型の機材しか就航できない状態。利用客は新幹線や高速道路に流れているほか、近隣の青森空港や花巻空港に団体客がシフトしています。開港初年度に61.2%だった搭乗率は3年連続で落ち込んでおり、平成21年度は過去最低の48.2%でした。

 その上、日本海沿岸高速道路が能代市二ツ井町まで開通して秋田空港へのアクセスが向上。今年12月には東北新幹線が青森まで開通することを考えると、大館能代空港の存在はさらに後退しそうです。

 地方空港でも需要予測を上回っている庄内空港(山形県)の場合は、新幹線もなく、高速道路で結ばれている山形空港は便数が削減されていることから、逆に空港の役割が向上しています。しかし大館能代空港の場合は、地域の産業形態や周辺の交通ネットワークの見通しからして、「無理な空港建設」のレッテルを張られてしまいそうです。

 危機感を持った県や関係市町村は、多額の予算を投じて「利用促進」を図るでしょうが、航空運賃やレンタカーへの助成、旅行商品の企画へ助成をしたところで、抜本的な改善には結びつかないでしょう。「空港がある以上は、廃止することはできない」、むしろ「地域の振興に活用しなければならない」と為政者が考えるのは当然としても、赤字が増大する空港の維持のために県の財政負担が大きくなってくることは明白です。

 「東京便は死守したい」(佐竹知事)としても、少子化と過疎化で学校の統廃合が進むように、空港も利用者がいなければ必要ありません。定期便がなくなった場合の空港施設の利用方法について、早めに考えた方がよさそうです。

by shouichiro_sato | 2010-05-26 23:29 | 秋田県 | Comments(1)  

Commented by ぽんぽん at 2010-05-27 11:19 x
地域の経済活動が活発でないと、交通機関の利用は増えませんから、地元経済を活性化させないとどうしようもないでしょうね。
地元が寂れていくようですと、かつての国鉄赤字ローカル線のように次々と廃止されていくでしょうね。

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