公約違反
2010年 03月 08日
昨年の総選挙で民主党の鳩山代表は、「国外、少なくとも県外移設が望ましい」と繰り返し訴え、沖縄県民の期待を集めました。悲願の政権交代を果たし、鳩山氏が首相に就任後もその主張を繰り返していることから、日米政府が合意していたキャンプシュワブ沿岸部をかかえる名護市では、1月に行われた市長選挙で(国からの呪縛が解けたように)「移設反対」の候補が初当選。流れは県外移設に向かって、大きく動き出した感じでした。
沖縄県議会でも2月24日、「国外・県外移設を求める意見書」を全会一致で可決。日米合意案に理解を示していた仲井真知事も、「県議会の意思表明として重く受け止めている。私も県外移設が最も望ましいと訴えており、政府には県外移設を実現してもらいたい」と述べています。こうした流れは全て、鳩山首相の一連の発言があったからに他なりません。
きょうの検討委員会に社民党は、グアムや北マリアナ諸島などへの全面移設など、国外案を提出。国民新党は15年後には沖縄から米海兵隊が全面撤去する条件付で、米軍嘉手納基地への統合案とキャンプシュワブ陸上案を提出。しかし、民主党は連立を組む2党の案を聞いただけで、党としての具体的な場所は示しませんでした。
これについて鳩山首相は記者団に対し、「特に沖縄県民の理解が得られる案に集約させるプロセスが、これから必要になる」と、何を言いたいのか全く理解できないような発言をしています。「ゼロベースで検討」することで、首相の公約(発言)をオブラートに包んできた政府ですが、中身は沖縄県内に移設する国民新党の案をもとに米国と調整する方向のようであり、明らかに「首相の公約」に違反した進め方です。
こうなると、具体的に県外の候補地や国外移設の可能性について、しっかりした根拠、備えがあった発言だったのか。真剣に(国外・県外移設を)政府・与党で検討してきたのか、(迷走している状況からして)はなはだ疑問です。希望的観測で「口から出まかせ」の公約だったとすれば、鳩山政権への期待と信頼が崩壊するばかりか、「政治不信」を募らせることになります。
支持率低下の要因となっている首相の「政治とカネ」問題の説明責任は、「裕福な家庭に生まれ育ったために、知らなかった」ことで押し通す?としても、米軍普天間飛行場の移設問題は今まで日米両国と沖縄県で積み上げてきたものであり、この決着が首相の約束通りに5月末までにできなければ、進退問題に発展するのは必至です。
by shouichiro_sato | 2010-03-08 23:49 | 国政・時事 | Comments(0)