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常套手段

 開会中の県議会と秋田市議会で焦点となっているのは、日赤・婦人会館跡地の再開発事業です。秋田市中心市街地のにぎわいを取り戻す手段として、県立美術館の移転・新築やにぎわい交流館の建設、商業モールや立体駐車場、ケアホームとマンションが計画されていますが、総事業費が150億円超えるプロジェクトにしては、納得できる説明がされていません。

 県は4日、事業計画の全面的な見直しにより着工が2014年以降にずれ込んだ場合は、大幅な財政負担が生じるという試算を県議会に示しました。関連予算の議決が6月定例議会以降になった場合のかかり増しは、土地・建物の再鑑定と権利変換計画の再策定に8465万円。県有地の評価減額分6000万円などがあり、10年度内に着工できなければ国の補助金も受取れない―――と説明しています。

常套手段_f0081443_1934292.jpg しかし、事業主体になる中通一丁目地区市街地再開発組合では、今までに2億6000円を超える支出をしており、その大半を大手ゼネコン4社が立て替えていることが判明しました。

 再開発組合では県立美術館などの建築工事やマンションを分譲する特定業務代行者を、その中の業者が中心となる企業グループに決めており、関連予算を審議している県議会建設交通常任委員会では、組合の財務内容や業者選定の経緯も不透明だとして、来週9日に組合や秋田市などの担当者を参考人招致することを決めています。(写真・きょうの建設交通常任委員会。ABS秋田放送ニュース「リアルタイムあきた」より)

常套手段_f0081443_1929193.jpg 一方、秋田市議会では代表質問が行われ、穂積市長は国の支援制度や財源確保が期待できる今回を「最後のチャンス」と述べています。(写真・答弁する穂積秋田市長。同)

 「この機会を逃せば、事業が出来なくなる」という姿勢は、為政者が用いる常套手段。問題があれば事業内容を見直したり、中止するのは当然のことであり、国の支援や財源についても新しい方策(事業展開)を考えればいいこと。少なくとも当分の間は、地方の中心市街地の活性化や振興対策が国にとっても重要な課題であり、地域の創意工夫による事業を支援しないことはあり得ません。むしろ知事や市長には、地方が必要とする支援制度を国に求めていくぐらいの気概がほしいものです。

 県議会の常任委員会が県当局の要請で非公開で協議を行ったり、市長の答弁が原稿を(元気のない声で)丸読みしている様子からは、執行部の熱意も伝わってきませんでした。県と市議会の議員各位には「事業が遅れれば負担が増える」などという牽制に惑わされることなく、後世に悔いを残さない判断を望みます。

 もっとも、地権者にとっては事業の内容よりも、「提供する用地の取得と解体する建物の補償を早くしてもらいたい」のが本音だという声もあり、この際、県有地以外の土地を県か市が取得することだけに止めて、利用計画を練り直すことも一考かと思います。「政治決断」などと、無理強いをしてはいけません。

by shouichiro_sato | 2010-03-05 20:04 | 秋田市中央街区 | Comments(1)  

Commented by 門間幸子 at 2010-03-05 23:16 x
まったく同感です。シナリオが出来ているというのはこのこと(ゼネコン)です。国からの支援の期限は今わかったことではなく、「何をいまさら…」ということです。これまでも国に求めることなく上から下りてくる財政頼りで薦められた事業が山ほどあり、そのすべてが、とは言いすぎかもしれませんが衰退もしくは低迷している現状を認知してほしいと思います。しがらみの多いトップは間違った政治決断をするでしょう。県民はそうなっても「しかたねべ」で済ませて来たのです。そういう県民が選んだしがらみの多いトップや議員が最終的に「しかたねべ」で決めるのです。民主主義とは泥棒の多数決では無いはずですねにね。ああ、それにしても、しがらみのない佐藤さんをTOPにできなかったことを悔まれてなりません。

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