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公約と予算

 民主党の小沢幹事長はきょう、年内の新年度予算案編成を目指している鳩山内閣に党の重点要望事項を伝えました。この中で「子ども手当」については所得制限を設けた上で、地方には負担を求めないこと。ガソリンなどの暫定税率は現在の水準を維持すること――――など、衆院選のマニフェストとは若干違う内容になっています。

 また、事業仕分けでは「限りなく廃止」とされた次世代スーパーコンピューター開発について、関係閣僚が協議して概算要求(267億円)より40億円削減することで決着。コメで実施する戸別所得補償制度の定額分は「10a当り15,000円で調整中」とのニュースもありました。

 鳩山首相は今まで「無駄の排除と予算の組み換えで、マニフェストに約束した財源は確保できる」と繰り返してきましたが、事業仕分けで国民の関心を集めたものの、実際の予算編成では事業への切り込み不足で概算要求額が過去最高になり、財源不足が否めません。

 しかしながら、マニフェストが選挙に勝つための「絵に描いたモチ」になっては、国民の期待を裏切ることになります。

 「子ども手当」は社会が子どもを育てていくという理念でしたが、所得制限を設けることになれば現行の「児童手当」の対象範囲を拡げることと同じ。民主党の抵抗で暫定税率の適用期間が切れ、ガソリンの価格が1ℓ当り約25円下がった経験をしている国民にとっては、暫定税率の廃止は既定路線だったはず。財源確保のための新税、例えば環境税を導入するまでは暫定税率を廃止しないとすれば、国民との約束違反です。マニフェストには環境税創設の文言はなく、消費税も4年間は引き上げないとしていました。

 一方、農家の戸別所得補償制度。日本農業再生の切り札のごとく宣伝されているものの、コメ生産農家にとって従来の生産調整などにかかわる補助金の交付額と同じか、あるいは少なくなるようでは納得できません。モデルケースとはいえ、コメ農家(経営規模の大小に関係なく)へ全国一律にバラ撒くために、財源として農業の多面的機能を支えてきた土地改良事業などが激減されるようでは、本末転倒でしょう。

 年末までは残された時間も少なく、政策決定は「政府への一元化」を掲げてきた民主党にとって、方針が定まらずにモタモタしている政府の予算編成作業に、小沢幹事長が「党というよりも、全国民からの要望だ」と喝を入れた会議。「国民生活が第一」という民主党政権の最初の一歩となる新年度予算がどういう内容になるのか、注目しています。

 それにしても、デフレ克服を目指す経済対策を盛り込んだ総額7兆2千億円の第2次補正予算案。緊急性をアッピールしているものの、国会は来月末でなければ召集されないようですから、現状認識に対する危機感がありませんね。麻生内閣が編成した第1次補正予算には無駄が多いとして、廃止や執行停止をしておきながら、予算案を編成しながらも国会を開かないのであれば、鳩山内閣の実行力はいかほどか、心配です。

by shouichiro_sato | 2009-12-16 21:55 | 国政・時事 | Comments(0)  

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