直轄事業負担金
2009年 06月 17日
国が計画を策定し実行する事業はその費用をすべて国が負担しているとは限りません。その施設の恩恵が地方自治体にも及ぶことから、地方財政法に基づく負担を義務付けて行われているのが直轄事業です。道路、河川、都市公園、港湾、空港の新設・改良事業ではそれぞれの負担は国が3分の2、地方が3分の1。また同事業で整備した道路や河川、都市公園には、維持・管理費用にも45%の地方負担があります。
平成21年度における全国の自治体の負担分は、普通会計予算ベースで1兆260億円。その中には工事費用だけではなく、地方の河川国道事務所の施設建築費や国土交通省職員の人件費まで含まれていることが判明し、全国知事会を中心に直轄事業制度のあり方や負担金の内容について、議論が沸き起こっています。
今までは直轄事業負担金の内訳(使途)について、地方自治体には明らかにされていませんでした。しかし、財政再建に取り組む大阪府の橋下知事が負担金の削減を求めた過程で、「国の請求書はぼったくりバーだ」と、その積算の根拠の開示を求めたことから、思わぬ実態が表面化してきました。
特に、国が管理者である道路などの維持管理費を地方に負担させていること。さらに職員の退職手当や国家公務員共済組合負担金、公務災害補償費、営繕宿舎費などの一部にも地方負担金が充てられていたことから、知事会では来年度から維持管理分の負担金を廃止するように求め、実現しない場合には今年度分の負担をボイコットする意見まで出ています。
国は地方の事業に対して補助金を支出した場合には、詳細な事業報告を求めたり厳しい会計監査を行ってきました。しかし、地方に負担金を求めていながら積算の根拠を明らかにしてこなかったとは、片手落ちもいいところです。今までは地方も言われるままに支出しており、国もその必要性を認めてこなかったのですが、住民が納得しなければ支出できないのが地方の予算ですから、この際は地方も説明責任を果たせるよう、ルールをしっかり確立するべきでしょう。
地方財政が逼迫し、事務事業の見直しや公共事業のあり方が問われている時期だけに、抜本的な改革をしなければなりません。もっとも、都道府県と市町村の事業についても同様のケースがないか、調査する必要があります。
by shouichiro_sato | 2009-06-17 23:29 | 国政・時事 | Comments(0)