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「新そば」できました・・・が

 稲刈作業の真最中ですが、夏に播種したソバも実をつけ、収穫のときを待っています。

 コメの生産調整が続いており、国内での自給率が低い大豆や麦、飼料作物の栽培が奨励されているものの、条件が悪い圃場や労働力が不足している農家では、耕作放棄地が増える傾向にありました。そうした中、羽後町で栽培面積を伸ばしてきたのが「ソバ」。今年は昨年比60ha増の、180haの圃場に播種されています。

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(写真・畑一面が白い花だったソバの圃場も、実りの秋はご覧の通り。秋田県では「西馬音内のそば」で有名な羽後町も、地場産のソバを使った「新そば」の季節を迎えました)

 しかし、伝統ある「そば」の町で地場産のソバが収穫され、地元のそば屋で提供されたり、そば焼酎として消費されるのは嬉しいことですが、農家の経営を見ると厳しい現実があります。

 町農林課によると、播種しても排水不良など、圃場条件が悪ければ収穫が皆無の場所もあり、町全体の平均収量は10a当り、50~60㎏。平均販売単価は1㎏当り、150円程度。とても農家の収益になるものではありません。ただし、羽後町の場合は「ソバ栽培研究会」(代表・猪岡専一さん)が作業の受託をする体制が出来ており、転作に関わる奨励金である「産地づくり交付金」も土地利用集積や出荷助成、町単独補助の上乗せもあって、10a当り34,000円程が農家に支払われる仕組みになっています。

 このように、条件が整い、平均以上の収量があったとしても、耕起・播種・収穫作業の料金などを差し引くと、手元の残るお金は1~2万円程度。圃場の維持や景観対策としては有効でも、農家の所得向上には程遠いのです。

 そんな訳で、収穫を前にしたソバの圃場を見て、これが多額の費用をかけて基盤整備した水田のあるべき姿ではない・・・・と、感じている昨今。私には、「新そば」も複雑な味わいです。 

by shouichiro_sato | 2008-10-03 00:03 | 産業振興 | Comments(0)  

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