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接待漬け

 「防衛省に対する国民の信頼が揺らいでいる」と言っても過言ではありません。

 第2次安倍内閣で防衛大臣に就任した小池百合子・衆議院議員が、異例の長期在任となっている事務次官の後任人事を発令しようとした時、激しく抵抗して首相官邸にまで乗り込んだ守屋武昌・前防衛事務次官。省内のドンといわれたその人が29日、衆院テロ防止特別委員会で証人喚問され、現役時代には想像できないほどの弱々しい声で、防衛商社「山田洋行」の元専務から受けた接待の実態を認めました。

 50歳の頃に防衛政策課長に就任した守屋氏は、その一年後位からゴルフの接待を受け、その回数は200回を超え、多いときには月に4回(毎週ですね)。偽名を使ってプレーし、半分以上は夫婦で行き、2度にわたりゴルフクラブセットも受け取っていました。北海道や九州旅行、さらには赤坂の高級クラブでも飲食とカラオケ。そのクラブの料金だけでも月100万円とか。

 防衛庁時代に起きた調達実施本部の背任事件や施設庁の談合事件などもあり、接待を禁止する自衛隊員倫理規定も2000年には施行されています。当時、守屋氏は官房長としてその作成に当たり、次官に就任してからは「倫理監督官」を務めていたそうですから、呆れてしまいました。新聞には証人喚問のテレビ中継を見ていた自衛官の感想として、「いい身分だ」「隊員が汗を流している時に、毎週末に遊んでいたのか」という憤りの声が紹介されていました。当然でしょう。

 そんな接待漬けになった事務方トップが4年間も君臨し、省内に睨みを利かせていたとしたら、しょっちゅう変わる大臣等の政治家が掌握できるはずもありません。しかし、膨大な金額となっている防衛費は、装備品の調達などは極めて専門的で機密事項も多く、情報公開が遅れている分野であるだけに、国民の信頼を損なう執行は許されないはずです。

 石破茂・防衛大臣は、装備品の調達などで出入りする全業者の実態調査を行なうほか、幹部職員の週末行動を申告させて把握する意向を示しています。ということは、今まで事務次官の行動さえ分からなかったとすれば、危機管理を担う国の中枢機関として、実に情けない話です。同じように甘い汁を吸っていた(防衛族の)政治家もいるようで、文民統制どころか、政治家の方が幹部職員にコントロールされていたのでしょうか。

 味覚の秋も深まり、これからは漬物の美味しい季節ですが、「接待漬け」だけは身体を蝕むことになると、私もしっかり覚えておきましょう。

by shouichiro_sato | 2007-10-31 23:23 | 国政・時事 | Comments(0)  

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