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「美しい国」というけれど

 今夜のNHK「クローズアップ現代」は、仕事に就きたくても難儀し、生活に苦しむ若者たちがテーマでした。

 東北地方出身のAさんは、地元での就職がかなわず上京しますが、東京でも仕事が見つかりません。月3万円のアパートを借りるにも、敷金や礼金などの当初経費が払えず、日雇いの仕事を探します。しかし現実は厳しく、派遣会社に雇われて倉庫の物流管理の仕事に就いても、手取りは一日に5700円余り。その上、(会社の方針で)1ヶ月に14日しか働けませんから、とてもお金を貯めることができません。そんな訳で、1泊1100円ほどのインターネットカフェやカラオケボックスで朝まで過ごしたり、時には野宿までしているというのです。

 一方、昨晩の同番組では、インターネット上の「仮想現実社会(バーチャルワールド)」で、一日に数十万円もの利益を上げている若者が紹介されていました。このギャップは一体何なのでしょう。「仕事に就けない若者は努力が足りない」などという前に、最低賃金を含めた現在の就労のしくみが、若者の生活を保障できないほど貧しい水準にあるのでしょうか。実際にAさんの場合は、派遣先の会社では日当13000円を派遣会社に支払いながら、さまざまな名目で派遣会社が天引きし、Aさんには5700円余りしか渡されていないこも明らかになりました。便利で快適な生活がある一方には、こうした人たちの犠牲があることに気がつきました。自由経済の社会とはいえ、ここでも倫理観が欠如した「利益優先主義」が蔓延っているのですね。

 アメリカに次ぐ「豊かな国」、世界に誇る「美しい国」といわれてきた我が国ですが、最近は特に富める者と貧しいものの格差が拡がり、毎年3万人以上もの人が自殺しているのですから、深刻な事態です。NHKの番組には「街をさ迷う新しいホームレス」の姿がありました。農村は疲弊し集落の存続も危うくなる地域が出てくる中で、都会ではワーキングプアが増えている現実。とても「『憲法改正』や『政治とカネ』の問題が最大の課題だ」などと言っている場合ではありません。パフォーマンスに踊らさせられた「小泉劇場」の陰で、日本社会の歪みは増幅しています。

by shouichiro_sato | 2007-06-12 22:24 | 社会・話題 | Comments(0)  

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